カテゴリー「書評」の記事

2021年10月18日 (月)

書評 内藤千珠子著『「アイドルの国の性暴力』@島根日日新聞 9月28日付

内藤千珠子著『「アイドルの国の性暴力』

の書評が、「島根日日新聞」9月28日付、「十勝毎日新聞」9月24日付に掲載されました。評者は永江朗氏。書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

なんて刺激的な評論だろう。アイドルと慰安婦。イメージの異なる二つのものを同時に考えることで、隠されているものが見えてくる。題材は徳田秋聲の「縮図」や林芙美子の「浮雲」など戦中、戦後の小説から、桐野夏生の「路上のX」や松田青子「持続可能な魂の利用」など現代の小説まで。アイドルについて考えるとき慰安婦が補助線になり、慰安婦について考えるときアイドルが補助線になる。キーワードは「帝国的性暴力」である・・・・・・アイドルと慰安婦を考えるとき、戦時下の性暴力は平和時にも継続されていることに気付く。最初から最後まで居心地の悪さを抱えながら読んだ。すべての男は当事者である。


9784788517349_20211018151001 「アイドルの国」の性暴力
著者 内藤 千珠子 著
ジャンル 文学・エッセイ
出版年月日 2021/08/05
ISBN 9784788517349
判型・ページ数 4-6・288ページ
定価 3,190円(本体2,900円+税)
在庫 在庫あり

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2021年10月16日 (土)

書評 メディアがひらく運動史@図書新聞 2021年10月23日付

大野 光明・小杉 亮子・松井 隆志 編『メディアがひらく運動史

の書評が、「図書新聞」2021年10月23日付に掲載されました。評者は久保田隆氏。評者の先生、掲載紙ご担当者のかたにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。


・・・・・・編者たちは特集の意図を示しながら、「運動の中で生み出されたメディアの集積は、それ自体が別の運動的な営みにつながっていく」と記している。確かに、それが例えビラや機関誌紙であったとしても、内包されている言語の集積は、思念の有り様を潜在させているといっていい。・・・・・・


三橋敏明「日大闘争は、何を「経験/記録」したのか」では、日大全共闘書記長の田村正敏と七三年に、「無尽出版会」を設立して『無尽』に自らの経験を執筆し、日大闘争の「記録」づくりに取り組み」、四号まで刊行し、以後の「記録」づくりをめぐって述べていく。わたしが、当時、『無尽』創刊号に関心が向いたのはいうまでもない。

 「創刊号jは巻頭に私の拙文が置かれ、秋田明大とアナキスト詩人秋山清の対談「何が続くか」をトップに、田村正敏の「出発することの意味(1)、山本義隆の「加藤一郎公判調書」などを掲載して刊行された。」

 秋山は、日大予科入学という経歴はあるが、なによりも田村の熱心な誘いが大きかったと思われる。
 わたしは、日大闘争、東大闘争等を、全共闘運動といった総称で語られることに、幾らか逡巡する思いを抱き続けてきた。三橋の論稿のなかに、次のような箇所がある。

「日大闘争の行方は不透明になったが、バリケード生活に定着していた「愉快な時間」は維持されかわっていかなかった。日大闘争の方針や展望は重要だったが、私には自らの意思と力で手に入れた「愉快な時間」を、いつまでもいつまでも持続させたかった。」


 わたしは、この文章に接して、いまだからいえる感慨がある。三橋が「時間」という認識なら、わたしは、「関係性」という感覚があったと思い返している。「愉快な関係性」と、いまだからいえるのかもしれないが、一人一人の考え方が違っていても、なにか分かり合える関係性というものが、生起していたことを思い出すのだ・・・・・・

 

 

9784788517332 社会運動史研究 3
メディアがひらく運動史

著者 大野 光明 編
小杉 亮子 編
松井 隆志 編
出版年月日 2021/07/15
ISBN 9784788517332
判型・ページ数 A5・240ページ
定価 2,640円(本体2,400円+税)
在庫 在庫あり

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2021年9月10日 (金)

書評・紹介 内藤千珠子 著『「アイドルの国」の性暴力』@2021年9月18日号図書新聞

2021年9月18日号図書新聞「〈世界内戦〉下の文芸時評」にて、
内藤千珠子 著『「アイドルの国」の性暴力』(ISBN 9784788517349  定価 3,190円)をお取りあげいただきました。
評者は岡和田晃氏。ご書評くださいました岡和田先生、書評紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございます。


「女性的身体を性的に消費しつつ収奪の責任を不可視化させ、「娼婦」のような恥辱の責任をも背負わせるという意味で、新自由主義的な主体の「アイドル」と戦時下の「慰安婦」には、隠れた共通性がある。誰もが直感的に看取していながら、論証が難しいその軸を――『帝国と暗殺』、『愛国的無関心』といった過去の批評との連続性のもと――力業で 掘り当てているのがこの批評の特徴だ。濱野智史や大森望らによる、アイドルを聖化する論が何を隠蔽しているのか、その位置を剥抉させるところから始まるが、とはいえ論証スタイルは緻密であって煽りのようなものは一切ない」

9784788517349


『「アイドルの国」の性暴力』

 著者 内藤 千珠子 著
ジャンル 文学・エッセイ
出版年月日  2021/08/05
ISBN 9784788517349
判型・ページ数 4-6・288ページ
定価 3,190円(本体2,900円+税

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2021年9月 1日 (水)

書評 猿谷弘江著『六〇年安保闘争と知識人・学生・労働者』@週刊読書人 2021年6月18日号

の書評が、「週刊読書人」2021年6月18日号に掲載されました。評者は古賀暹氏。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

「まず巻末にある参考文献の一覧を見て驚かされた。日本の六〇年安保闘争を論じているはずの文献の半分が横文字に占められているからだ。こんなに欧米人の日本研究が盛んなのか、日本学の専門家でもない私には書評は書く資格がないと恐れをいだいた。しかし、その恐れは、序章の末尾までほんの三〇頁までしか続かなかった。それまでの難しい社会学の歴史についての話は、ブルデューの方法論を用いて安保闘争に立ち向かうよという方法論の説明だったからだ。
 いやその短い序章を、わからないなりに苦労して読んだ甲斐があった。逆に、アメリカに留学していた著者、猿谷弘江さんの、若々しい苦闘ぶりが、際立って感じられた。猿谷さんはブルデューの方法論を片手に、六〇年安保と第一次ブントに立ち向かっている。その姿は、第一次ブントが分裂-崩壊したのち、何の予備知識ももたないままブントの再建を目指して、学生運動に突入した頃の私と似ていると感じた。違いは、猿谷さんには、方法論があったが、私には先輩たち「学生革命家」たちの意志の継承という情熱があったというだけに過ぎない。それだけで、ブントとは何だったのか、なぜ、ブントは崩壊したのかということを、戦線に生き残っていた先輩たちから聞き出していったのだった。

 猿谷さんに戻ろう。ブントと安保闘争という森林をかき分けて行く猿谷さんの分析はみごとだ。まず初めに登場するのは、丸山眞男、久野収、清水幾太郎などで形成された知識人のフィールドだ・・・・・・」

9784788517172  『六〇年安保闘争と知識人・学生・労働者』
  社会運動の歴史社会学

 著者 猿谷 弘江 著
 ジャンル 社会学 > 歴史社会学
 出版年月日 2021/03/31
 ISBN 9784788517172
判型・ページ数 A5・392ページ
 定価 5,500円(本体5,000円+税)
 在庫 在庫あり

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2021年6月28日 (月)

牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』、『しんぶん赤旗』(2021年6月20日)で紹介

牧野陽子著
『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』
が『しんぶん赤旗』(2021年6月20日)で紹介されました。評者は稲賀繁美氏。

ご書評くださいました先生、書評紙ご担当者さま、ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。



『〈時〉をつなぐ言葉』角川源義賞ほかを受賞した第一人者による小泉八雲論の集成である。......100年以上前の日本の姿と人々の心を描いた英語圏作家を、今になってあらためて再訪する意義はどこにあるのか。


そうした疑問を抱く読者に、本書は思わぬ光景を展開してみせる。従来の文学研究の相場であった作家論・作品論を超え、同時代の幾多の著述家のなかにハーンを位置づけ、その発想の源泉にさかのぼる一方で、口碑・伝承ととハーンの創作との相互関係に分け入り、さらにはその著作の感化を受けた後世の作家たちとの共鳴に及ぶ。


・・・・・・幼少を海外で過ごした著者の日本発見が、伝承や民族の再話の杜のなかに隠されたなぞに感応する魂の響き合いを解き明かす。そのしなやかな筆遣いの裏には、著者の強靭な意思と博捜をいとわぬ探求が透視される。




9784788517004ラフカディオ・ハーンと日本の近代

牧野 陽子 著
出版年月日 2020/12/15
ISBN 9784788517004
判型・ページ数 4-6・392ページ
定価 本体3,600円+税

 

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2021年4月15日 (木)

書評 櫻井茂男著『思いやりの力』@図書新聞 2021/4/14付

櫻井茂男著『思いやりの力』の書評が、「図書新聞」2021年4月11日付に掲載されました。評者は黒川 類氏。評者の先生、掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

.............

著者は、「自分の共感性を育てるポイント」として、「愛する人を作ること、または信頼できる人を作ること」、「幸福感、自己肯定感、有能感をもつこと」を挙げている。また、「幼少期に養育者からしっかり愛された安定したアタッチメントが形成された人は、基本的に自己肯定感を持っています。もし幼少期に基本的な自己肯定感が持てなかったとしても、成長の過程で自分を無条件に愛してくれる人ができれば、自己肯定感は培われます。自己肯定感が培われれば、自分にとらわれる利己性が低減し、他者のことを思う向社会性や共感性が促進され、向社会的行動も増えることが期待できます」と述べていく。


そして最後に、「幸福感、自己肯定感、有能感の形成を通して間接的に共感性を育む」ことを推奨する。それは、「自己にやさしくすること――セルフ・コンパッションの実現」ということになる。他者にやさしくすることは、自分にもやさしくすることに他ならない。まさしく、それが「関係性」をかたちづくっていくことになるといっていい

 

 

9784788516922 思いやりの力
 共感と心の健康

 著者 櫻井茂男 著
 ジャンル 心理学・認知科学・臨床
 出版年月日 2020/11/10
 ISBN 9784788516922
 判型・ページ数 4-6・208ページ
 定価 2,420円(本体2,200円+税)

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2021年4月13日 (火)

紹介 牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』、3月18日付山陰新聞

牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』(四六判・本体3600円)が、3月18日付山陰中央新報書評欄にて紹介されました。評者は佐貫公哉氏。掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。


 松江ゆかりの文豪小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、日本に関する数多くの作品を著し、洋の東西を問わず読み継がれている。八雲は、神仏習合や先祖崇拝などを軸とする「日本人の内なる生活」に注目し、一つの価値観を強要する近代西洋文明を問い返す力があると見た。

3部構成の本書では、八雲の思想を鍵として、日本の近代が考察される。第1部は、八雲が捉えた日本古来の宗教的心性と現代における意義を論じ、八雲の日本観をたどり直す。

八雲作品の受容のありように焦点を当てた第2部では、柳田国男「遠野物語」と八雲「知られぬ日本の面影」が合わせ鏡のようにつづられ、柳宗悦の民芸論には八雲「日本人の微笑」の影響が見られると指摘する。

第3部は、「宗教・庶民・自然」という八雲の関心と重なり合う光景を見つめた作家たちとして、明治初期のイザベラ・バードや、林芙美子の戦後の作品などを読み解く。

(新曜社・3960円)


 

9784788517004ラフカディオ・ハーンと日本の近代

牧野 陽子 著
出版年月日 2020/12/15
ISBN 9784788517004
判型・ページ数 4-6・392ページ
定価 本体3,600円+税

 

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2021年4月12日 (月)

紹介 牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』、3月14日付神戸新聞他

牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』(四六判・本体3600円)が、3月14日付読神戸新聞他、にて紹介されました。掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。


ハーン=小泉八雲は一つの価値観を強要するキリスト文明に対して、神仏習合、祖先崇拝を軸とする日本人の内なる生活にはそれを問い返す力があると見ていた。その思想の受容を通して日本の近代を考察していく。

柳田国男「遠野物語」とハーン「知られぬ日本の面影」が合わせ鏡のようにつづられ、柳宗悦の民芸論にはハーン「日本人の微笑」の影響が見られると指摘。女性の放浪と破滅の物語とされた林芙美子「浮雲」は、仏印での「植民地体験」を自然の生命力へと昇華する作品だと読み解いていく。

 

 

9784788517004 ラフカディオ・ハーンと日本の近代

牧野 陽子 著
出版年月日 2020/12/15
ISBN 9784788517004
判型・ページ数 4-6・392ページ
定価 本体3,600円+税

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2021年3月11日 (木)

書評國分功一郎・熊谷晋一郎『〈責任〉の生成』@公明新聞 2021年3月8日付

國分功一郎・熊谷晋一郎『〈責任〉の生成』 の書評が、2021年3月8日付公明新聞に掲載されました。評者は河野哲也氏。ご書評くださいました先生、掲載紙のご担当者様にこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。

・・・・・・本書は、朝日カルチャーセンターでの二人の討論と、聴衆を交えての質疑応答の記録である。講演会のライブ感が伝わり、「当事者研究」と「中動態」についての非常に分かりやすい入門書にもなっている。

・・・・・・二人の対話が進むにつれ、「内臓のアフォーダンス」「反芻と省察という二種類の自己参照」「予測誤差過敏としての自閉症」「コナトゥス解体による生存」など、豊かな展開が期待できる言葉がポンポン飛び出してくる。読み進める中で評者に生じた疑問の多くは。「質疑応答」のなかで聴衆が代弁してくれる。この質疑応答の部分が、講演部分と同じほど興味深い。・・・・・・




9784788516908<責任>の生成
中動態と当事者研究

國分 功一郎 著
熊谷 晋一郎 著
2020/12/01
ISBN 9784788516908
判型・ページ数 4-6変・432ページ
定価 本体2,000円+税

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2021年2月22日 (月)

書評 牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』、2月21日付読売新聞書評欄

「神道世界をイメージで」
牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』(四六判・本体3600円)が、2月21日付読売新聞書評欄にて紹介されました。評者は栩木伸明氏。評者の先生、掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。


・・・・・・本書は彼の文化論を日本近代の中に位置づけようとする試みである。
 明治初期に来日したイザベラ・バードやB・H・チェンバレンは、文明化とキリスト教を直結させる思考法に慣れすぎていたため、神仏習合と祖先崇拝が結びついた日本の宗教的感性を理解できなかった。チェンバレンは神社の簡素さや神道における理論不在を批判さえした。

 本書の著者によれば、ハーンはその批判に返答するかのようにエッセイ「生神様」を書いた。死語に先祖神となり、丘の上の神社にまつられた霊が、参拝者の声を聞いて昔のことを思い出し、里へ下りていくまでの心模様を、神様の一人称で綴った異色作でである。・・・・・・

 

 

9784788517004 ラフカディオ・ハーンと日本の近代

牧野 陽子 著
出版年月日 2020/12/15
ISBN 9784788517004
判型・ページ数 4-6・392ページ
定価 本体3,600円+税

 



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