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2026年4月

書評  巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』@京都新聞 2026年4月26日付

巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』の書評が、2026年4月26日付京都新聞に掲載されました。評者は畑中 三応子氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 今や栄養学に基づく健康な食事が国民の義務のようになり、食事でカロリーやボリュームを気にせず満足感を得ようとすることが「ギルティー(罪悪感)消費」と呼ばれる時代になった。だが、明治期には正しい食事で健康になるという発想はまだなかった。栄養学がどのように生まれて受容されたのか、本書は最初期の経緯を明らかにする。

 貧弱だった日本人の体格を改善すべく、西洋料理が滋養に富む食事として称賛されていた大正期、日本の栄養学の創始者、佐伯矩が登場した。

........

 かくして栄養学は食べ方をコントロールするようになっていったが、これだけの業績を上げたのに変人扱いされ、一般には忘れられた佐伯を知るだけでもこの本を読む価値がある。ただし、健康志向への強制と栄養至上主義がますます強まる現在、佐伯を恨めしく思わないでもない。

9784788519114

 

『〈栄養〉の誕生
「健康のための食事」をめぐる抵抗と受容』


巽 美奈子 著
社会学
出版年月日 2026/03/05
ISBN 9784788519114
4-6判・232頁
定価3520円

書評  巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』@日本経済新聞 2026年4月18日付

巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』の書評が、2026年4月18日付日本経済新聞に掲載されました。評者は阿古 真理氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 以前、キッチンの歴史を調べた折、家政学の創始者、エレン・リチャーズが、シェアキッチンを使って栄養バランスが整った食事の仕方を貧困者に伝えようとしたが、3年近くにわたり拒絶され続け、失敗した史実を知った。

健康を守るには、栄養のバランスが整った食事の実践が必要と言われる。しかし、誰もがそうした食事を好むわけではないし、日々栄養バランスを考え食事を調える台所の担い手は、負担が大きい。この葛藤について社会学の視点から切り込み、栄養に関する日本の近代史を描いた本である。

........

 栄養教諭だった著者は、従来の栄養教育に限界を感じて学んだことを相対化すべく大学院に入り、まとめた博士論文が本書の元になっているという。今後の研究で、著者が栄養バランスと食、ジェンダーと食の担い手の関係など、本書が示したいくつもの種を、育てていくのを楽しみにしている。

>>>>>>日本経済新聞書評ページへ

9784788519114

 

『〈栄養〉の誕生
「健康のための食事」をめぐる抵抗と受容』


巽 美奈子 著
社会学
出版年月日 2026/03/05
ISBN 9784788519114
4-6判・232頁
定価3520円

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第263号■

2026年3月16日発行

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◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第263号■
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◇トピックス
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〇イベント情報

ブックフェアのお知らせ
丸善丸の内本店さま3階にて、心理学書販売研究会ブックフェア、
「キャリアカウンセリング キャリアコンサルティング」好評開催中です。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/03/3.html

ぜひお立ち寄りください。


〇書評情報

有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境
界』の書評が、2026年2月28日付毎日新聞に掲載されました。評者はジョエ
ル・ヨース氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/03/post-d05af8.html

 

また同日、日本経済新聞でも『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種
的境界』の書評が掲載されました。評者は安田菜津紀氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/03/post-4e3ebf.html

評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。

 


◇近刊情報
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2026年3月24日発売
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司法面接でひらく事実確認
─「聴き方」の心理学
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b673832.html
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武田悠衣 著
A5判並製170頁・本体3900円+税
ISBN 978-4-7885-1920-6 C1011
ジャンル=心理学


虐待・いじめ・ハラスメントといった被害/加害にまつわる事実を私たちはど
う「聴く」べきなのか。聴き手は語り手にどのような影響を及ぼしえるのか。
事実確認の技法である司法面接の考え方を、教育や産業など他領域へと応用す
る可能性を検討する。

司法面接は司法・福祉領域といった特定の場面で用いられる技法だが「事実を
確認する際に聴き手はいかなる影響を及ぼしえるのか」という普遍的な問いを
含む。

著者=立命館大学OIC総合研究機構専門研究員

 


2026年3月27日発売
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つながりの「曲がり角」
─データで読むモバイル・コミュニケーションの変遷
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b673833.html
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松田美佐、土橋臣吾、辻泉 編
四六判並製212頁・本体2700円+税
ISBN 978-4-7885-1919-0 C1036
ジャンル=社会学


モバイルメディアが浸透して30年。このインフラとともに私たちの「つなが
り」はどう変化したか?友人や家族・パートナー形成からジェンダーや趣味・
仕事との関わりと格差まで、現代人が直面する「曲がり角」を20年間の全国調
査データから展望する。

執筆者陣(モバイル・コミュニケーション研究会)が2001年、2011年、2021年
の3回に渡って実施した全国調査データから紐解くモバイル社会の変遷。

編者:
松田美佐(中央大学文学部教授)
土橋臣吾(法政大学社会学部教授)
辻泉(中央大学文学部教授)

 


2026年3月26日発売予定
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質的心理学研究 第25号
特集 「変化」をとらえる質的研究
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674533.html
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日本質的心理学会『質的心理学研究』編集委員会 編
B5判224頁・本体3000円+税
ISBN 978-4-7885-1915-2 C1011
ジャンル=質的研究・心理学


岐路に立たされる人はなにを選択しどのように変わるのか。また、変わらない
ものは何なのか。特集「『変化』をとらえる質的研究」では、変化の激しい時
代や社会の趨勢に応じ、個人や集団が影響しあい変容する過程を8本の論考で
描き出す。一般論文4本収載。

 


2026年4月3日発売予定
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流転する伝統
─修学旅行と文化財鑑賞の歴史社会学
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674807.html
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菅沼明正 著
A5判360頁・本体4500円+税 
ISBN 978-4-7885-1921-3 C1030
ジャンル=社会学


いかにして京都・奈良は「日本人の心のふるさと」になり、「国宝」は伝統文
化となったのか。修学旅行の定番化、「文化財鑑賞という制度」の成立の経緯
などをたどることで、伝統は創られるだけでなく、変容し流転することを具体
的に説いた、気鋭の意欲作。

・新「日本巡礼」ともいえる、日本(人)のアイデンティティの形成を探る試み
でもある。

著者=九州産業大学地域共創学部観光学科准教授

 


2026年4月3日発売予定
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現象学入門

https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674797.html
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ダン・ザハヴィ 著 中村拓也 訳
四六判並製288頁・本体2900円+税 
ISBN 978-4-7885-1922-0 C1010
ジャンル=哲学

心、身体と生世界、自己と他者といった核心的主題を主要な現象学者の議論に
そって解説。心理学・精神医学・社会学への応用や質的研究・認知科学との接
点、批判的現象学まで、現象学の多様な可能性を示し、現在地を見定める。定
評ある現象学入門書の最新の改訂版、2025年刊行の第2版の完訳。

著者=ダン・ザハヴィ コペンハーゲン大学教授 
訳者=中村拓也 同志社大学教授


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編集後記

 

 個人的な話で恐縮ですが2月の初めに緑内障の手術を受けて、1週間ほど入
院した。


 出版健保で緑内障を指摘されてから、漫然と目薬治療を続けていた。専門病
院で診てもらおうかと思ったこともあったが、そこで冷徹な診断を受けるのも
怖い。結果、先延ばし。日替わり勤務の情熱のない医師による、おそらく効果
のない点眼治療というぬるま湯に数年浸かってきたツケがまわってきたのだ。


 事態が急展開したのは昨年の暮れ、2年ほど前から細かい数字を合わせる仕
事が加わり、パソコンモニターにへばりつき、その無理がたたったのだと思う。
急に右目の視力が落ち、緑内障の定期検診の時に当番の眼科医に相談した。


 この先生はかなりの「あたり」であった。すぐに紹介状を書いてくれて、大
学病院に行くことを勧めてくれた。これが年末の最後の診察日。通常なら無視
して先延ばしする私だが、今回は肚を決め、ちゃんと年始の予約をとり、そし
て診察に行ったとたんに、トントントーンと一気に手術をする流れとなった。
これも運命、もはや受け入れるしかあるまい。


 手術後。入院患者は外来の患者さんが来る前に朝早く診察する。しかし時間
がズレて朝8時を過ぎると外来さんでごった返してしまい、そうした特権性は
失われる。執刀医の診察をずっとうなだれて待ちながら、手術をした右目のこ
とを考えていると、ああ、そういえば村上春樹の小説に、目になんか刺して普
通の視力は失うけれど、別のものが読めるようになる話がなかったっけ? サ
クッとメスを入れる感じが心地よかったような。実際の手術を経たあと、どん
な感じに読めるんだろうか。そんなことを考えていると、


「ムラカミさーん、ムラカミハルキさーん、17番視力検査室にお入りくださー
い」という検査士さんの大きな声が聞こえた。


 あまりのタイミングの良さにギョッとしてしまい、頼りない左目で検査室を
見ると、もちろん違う男性だった。彼は今までも診察室で見ず知らずの人間か
ら目を向けられる人生だったに違いない。

 私にとって今回の手術は世界の終わりだった。手術直後は目をあけてもくら
やみだった。しかも、

 「右下向いて、違う、右下! 目をキョロキョロすんな!」。

 手術中、患者が怒鳴られる世界。じつにハードボイルドであった。(N

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◇奥付
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次回発行は2026年4月上旬頃を予定しております。

書評 有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学』@2026年3月27日付「週刊読書人」

有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境界』の書評が、2026年3月27日付「週刊読書人」に掲載されました。評者はウォント盛 香織氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 ・・・・・・
 評者が本書において特に興味深かった章は、「戦後日米混血児」誕生前を分析した1章である。著者は、「戦後日米混血児」誕生前から女性団体を含む市井の人々が、日本人女性と連合国軍の軍人・軍属との間の混血児誕生予想を記述した民衆流言資料の中で、こうした子どもが生まれることとその母親たちを「肩をすくめるに余りある」「ハズカシイ」ことと見なし、「罰を下すべきだ」とするほど否定的にとらえていたことを示している。「戦後日米混血児」を産んだ女性は、パートナー選択と性行動において人種境界やセクシュアリティ規範を逸脱しただけでなく、家を継ぐべき日本人嫡子を産まないという家規範に反するなど幾重の逸脱行為を犯した女性たちとして見なされ、それゆえに彼女たちとこれから生まれるであろう子どもたちへの一般市民の強い拒否感が醸成されていたことが分かる章となっている。・・・・・・

 

 

9784788519084_20260309141701『「混血児問題」の歴史社会学
戦後日本の人種的境界』


有賀 ゆうアニース 著
社会学
出版年月日 2026/01/30
ISBN 9784788519084
4-6判・344頁
定価4290円

 

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