書評 有賀ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学』@毎日新聞 2026年2月28日付
有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境界』の書評が、2026年2月28日付毎日新聞に掲載されました。評者はジョエル・ヨース氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
本書の帯に「人種は人々の人生行路をいかに形づくるのか」とある。過去形ではない。タイトルの「混血児問題」は、確かに、敗戦後の占領期に連合国軍兵士と日本人女性の間に生まれた子どもたちにまつわる議論と対策を指す。ただし、「混血児」たちの置かれた状況を規定する様々なメカニズムが消えてしまったわけではない。著者の有賀は21世紀の日本社会の現状と行方を考えるうえでも貴重な思考枠組みを提供してくれる。
本書は学術書である。石を投げられるなど、子どもたちの痛ましい体験談も紹介されているが、重点は社会学的な分析に置かれている。戦後の日本社会において、「混血児」といわれる子どもたちがどのように包摂あるいは排除されたか。一様でない処遇を可能にした観念とそれらがもたらした帰結を検討する有賀の丁寧な行論は、読者の思考を研磨してくれる。
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敗戦直後、「混血児が20万人いる」という説が広がった。全国調査してみると、その数は4000人弱だったことが判明した。2025年の日本に在住する外国人の数は400万人ほど。「ミックス」と言われる子どもたちが増えることは必至である。彼らがその能力を発揮して、この国の将来の一翼を堂々と担えるようにするのにはどうすればよいか。多様性の尊重か、それとも同化か。まずは社会学者だけでなく、偏見に流されたくない市民が本書を手に取って思考を研いでいけばよいのではないか。
有賀 ゆうアニース 著
社会学
出版年月日 2026/01/30
ISBN 9784788519084
4-6判・344頁
定価4290円



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