論考 金菱清「震災霊性論」@「世界」2024年8月号
「世界」2024年8月号に、金菱清先生による「震災霊性論」の論考が掲載されました。
この十数年続けてきた東日本大震災の調査研究の成果を『生ける死者の震災霊性論――災害の不条理のただなかで』(新曜社)として刊行しました。そこで提案した「震災霊性論」という概念は、私が震災における死者の問題に取り組む中で見出したものです。以前、お墓研究会に入っていたことなどもありましたが、死や死者について、愛する家族を亡くして懊悩する人々から考えなければいけない切実な問いがでてきたのは、東日本大震災の発生を受けてのことでした。私の身近な人が亡くなったというわけでもありません。それまで関心の薄かった私が目を向けなければならなくなった、生者と死者との深い関係性について本稿では考えてみたいと思います。
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震災霊性論は、私たちの死生観や近代社会のあり方を捉えなおすことにも通じます。コロナ禍においては、感染拡大対策のもとに、死者との対面がかなわず、火葬にも立ち会えない場面がありました。そのため、死者との結びつきが絶たれ、死者数という単なる数字に換算され忘却されてきたのは記憶に新しいことです。こうしたコロナ禍における死者の扱いは、死者が生者のなかに生きている、「生ける死者」という死生観からかけ離れたものであり、近代社会のあり方を極限までむき出しに示したといえます。
災害の不条理のただなかで
出版年月日 2024/03/11
ISBN 9784788518421
4-6判208頁・定価2530円(本体2,300円+税)
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