書評 金菱 清 著『生ける死者の震災霊性論』@「図書新聞」2024年7月20日号
「図書新聞」2024年7月20日号に、金菱清著『生ける死者の震災霊性論』の書評が掲載されました。評者は麦倉 哲氏。ご書評くださいました先生、掲載誌ご担当者さま、ありがとうございました。こころよりお礼申し上げます。
著者は、震災で大切な人を亡くした人との交流を続けている。アライ(Ally、支援者)でもなく、寄り添うでもなく、対象となる人びと(遺族ら)とやり取りを重ね、遺族らが向き合ってきた精神世界を知ろうとし、加えて遺族らと故人の対話に臨場しようとしている。また、そうした日常世界を世に知らしめようとしている。宗教学的、哲学的、民俗学的にも考察しようとしている。調査方法としては、社会学・社会調査の方法を駆使し、新境地を切り拓こうとしている。
……
著者はこの13年間、学生たちとともに、被災地での数々のフィールドワークを積み重ねて、おそらく死者からのエールも受けて、多くの著書・報告書を刊行してきた。本書は、その積年の軌跡を知る体系的な書である。著者が、生者と死者との関係を観るまなざしや、生者の精神世界を理解するためのアプローチの巧みさと、たぐいまれなこだわりは、著者の丹精込めた取り組みから伝わってくる。それが遂行できたのも一様ではなかっただろう。そのことは、著者を鼓舞した「ピンと張りつめた想い」と、著者が「あとがき」でもらした「たたかってきた」という本音からうかがえる。主題は死者との対話か、それらを日常とみる社会文化環境の実相を描くことか。
災害の不条理のただなかで
出版年月日 2024/03/11
ISBN 9784788518421
4-6判208頁・定価2530円(本体2,300円+税)
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