申 惠媛著『エスニック空間の社会学』 2024年6月29日付「図書新聞」
申 惠媛著
『エスニック空間の社会学 新大久保の成立・展開に見る地域社会の再編』
の書評が2024年6月29日付「図書新聞」にて掲載されました。評者は三浦綾希子先生。ご書評くださいました先生、書評紙ご担当者様、ありがとうございます。こころよりお礼申し上げます。
……
本書で検討されるのは、エスニックな観光地「新大久保」の出現によって「地域社会」が変容・再編される過程である。この分析をつうじて、移動性や開放性を前提とする「地域社会」の捉え方を模索することが本書の目的である。本書の特徴は、これまで「地域社会」の構成員とみなされてこなかった人々、例えば複数の国を行き来しながら観光資源を提供するビジネス経営者や観光客のような一時滞在者をも対象者に含め、かれらを特定の空間的範域に「共在」する者として捉えている点である。……
……本書はこれまでの移民・エスニシティ研究と都市社会学の知見を丁寧に整理し、精緻でオリジナルな分析枠組みを構築した上で、インタビュー、メディア分析、参与観察など複数の手法を組み合わせながら、多様なアクターが織りなす社会関係のダイナミクスを描いた良著である。本書の最も大きな功績は、「社会関係レイヤー」という視点を導入することによって、これまで統一的に捉えられてきた地域社会を重層的なものとして描き、そこに「共在」する人々が織り込まれている超越的な文脈を組み込んだ上で、レイヤー間の相互作用の在り方を示した点である。……
『エスニック空間の社会学』
新大久保の成立・展開に見る地域社会の再編
申 惠媛 著
出版年月日 2024/01/31
ISBN 9784788518322
判型・ページ数 A5・352ページ
定価 4,840円(本体4,400円+税)
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