書評 西 成彦著『声の文学』、「図書新聞」2022年5月28日付
西 成彦著『声の文学』の書評が「図書新聞」2022年5月28日付に掲載されました。評者は内藤千珠子氏。ご書評くださいました先生、書評紙ご担当者様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
文学の言葉が思い描く夢を、実現しようとする一冊だ。冒頭部には、目次の代わりに、さまざまな書物から引用された言葉がインデックスとして並べられている。引用した言葉に寄り添い、限りなく近づき、接触する。その言葉とともに思考し、批評する文学の言葉が、暴力に横領された世界のなかに、それとは異なりうる可能性を帯びた、別の世界の姿を膨らませていく。考察の対象として取り上げられるテクストは、小説を中心としながらも、ルポルタージュや学術的言語、映像テクストにまで広がっているので、本書を読む過程で、読者は自分が今存在している場所から離れたさまざまな場所に連れていかれ、過去や未来に関心を開きながら、複数の声が響く多彩なテクストを読むことの愉楽を経験することになるだろう
声の文学
出来事から人間の言葉へ
西 成彦 著
2021/12/25
ISBN 9784788517493
4-6判272頁
定価2640円
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