書評 河北新報社編集局・金菱 清 著『逢える日まで』@河北新報、2022年02月27日付
河北新報社編集局・金菱 清 著『逢える日まで』の書評が、河北新報2022年02月27日付に掲載されました。評者は土方正志氏。評者の先生、掲載紙御担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。
交響する「声」に圧倒される。読む者の魂を揺さぶる。そんな本だ。東日本大震災の遺族・行方不明者家族への河北新報社編集局によるアンケートと121人への聞き取り、金菱清関西学院大学教授の分析からなる。ソフトカバーでそれほどのページもない。なのに、その紙の束に「死」の記録と「生」の記憶がずっしり積もって胸を突く。・・・・・・
あたかも時限爆弾のように自然災害が日常の陰に姿を潜めるこの列島である。ここに刻まれた「声」は、逃れがたい明日の「あなた」の声であると、そう思って読んでいただければ、証言者の苦悩は報われる。だけでなく「声」は悲劇の連鎖を止める「伝承」となる。それを祈って、被災地の私たちは語ることをやめない。このコトバよ届け、と。・・・・・・
ページの向こうに証言を聞き取って記録した記者たちの慟哭もまた透けるが、なにより語り手の皆さんに、語ってくれてありがとうと、最後にただそれだけを。
逢える日まで
3. 11遺族・行方不明者家族 10年の思い
著者 河北新報社編集局 著
金菱 清 著
出版年月日 2022/02/05
ISBN 9784788517523
4-6判200頁・1,980円(本体1,800円+税)
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