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2021年11月

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第215号■

2021年11月19日発行
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◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第215号■

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◇トピックス
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〇書評
ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者様に心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。


大野 光明・小杉 亮子・松井 隆志 編
『メディアがひらく運動史』の書評が図書新聞 2021年10月23日付に
掲載されました。評者は久保田隆氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-34bda7.html


J.サンド著 『東京ヴァナキュラー』(池田真歩訳)の書評が
日本経済新聞 2021年10月23日付に掲載されました。
評者は五十嵐太郎氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-453658.html


内藤千珠子著『「アイドルの国の性暴力』の書評が、
島根日日新聞9月28日付、十勝毎日新聞9月24日付に掲載されました。
評者は永江朗氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-b438f4.html


猿谷弘江著『六〇年安保闘争と知識人・学生・労働者』の書評が、
図書新聞 2021年11月6日付に掲載されました。評者は小杉亮子氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-3ea2a3.html


J.サンド著『東京ヴァナキュラー』(池田真歩訳)の書評が、
朝日新聞 2021年11月6日付に掲載されました。評者は戸邉秀明氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-07da20.html


中山元 著『わたしたちはなぜ笑うのか』の書評が、
北國新聞 2021年10月30日付 に掲載されました。
同記事は琉球新報、沖縄タイムズ紙、下野新聞ほかに掲載されました。評者は清水義範氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-b50aa4.html


対談 小平麻衣子 内藤千珠子 「文学的想像力の可能性」が、
「図書新聞」2021年11月13日付に掲載されました。内藤千珠子著『「アイドルの国」の性暴力』をめぐっての対談です。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-864aa1.html

 

○新曜社ウェブマガジン「クラルス」
https://clarus.shin-yo-sha.co.jp/


齋藤直子先生の連載『ツバメのかえるところ----はじめて出会う「部落問題」』更新です。
第5回は、「私と部落問題・その1 〈家制度・家柄・結婚のこと〉です。ぜひお読みください。

第5回・私と部落問題・その1<家制度・家柄・結婚のこと>
https://clarus.shin-yo-sha.co.jp/posts/5344


【新連載】
国際開発、パブリックヘルス専門家の赤地葉子さんによるエッセイの連載がはじまりました。
初回はThe Clash「Stay Free」と筆者の女子高時代の教育の話です。
ぜひご覧ください。

第1回 あの頃女子高で読みたかった古典
https://clarus.shin-yo-sha.co.jp/posts/5354


第2回 冷笑主義と教育の目的
https://clarus.shin-yo-sha.co.jp/posts/5355


第3回 妊娠中絶のタブーと偽善、それを打ち破ったパンクの歌
https://clarus.shin-yo-sha.co.jp/posts/5356


第4回 福祉事務所の列から始まる革命
https://clarus.shin-yo-sha.co.jp/posts/5357

 

 


◇近刊情報
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12月中旬発売予定
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協働するカウンセリングと心理療法
――文化とナラティヴをめぐる臨床実践テキスト
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デヴィッド・パレ 著 能智正博・綾城初穂 監訳
A5判上製640頁・本体6200円+税
ISBN 978-4-7885-1744-8 C1011
分野=心理学

機能不全を矯正する営みからクライエントがもつ知識と能力を最大限活用する異文化間の協働作業へ。変化を生み出せるよう、積極的にクライエントにかかわっていくカウンセリングや心理療法に必要な態度と技法を、援助過程に即して懇切に述べた入門書。

*従来のカウンセリング/心理療法のとらえ方を一新する書


著者

デヴィッド・パレ(オタワ大学教授)

訳者

能智正博(東京大学教授)
綾城初穂(駒沢女子大学准教授)

 


12月中旬発売予定
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キーワード心理学11 パーソナリティ・知能
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重野純・高橋晃・安藤清志 監修/杉山憲司・小塩真司 著
A5判並製230頁・本体2700円+税
ISBN 978-4-7885-1745-5 C1011
分野=心理学


私たちの多様な人間性の基礎としてのパーソナリティ(性格)と行動にむけて情報処理を行う知能(知性)。最新の理論から測定方法、社会とのかかわり、生きることへのヒントまで、いま知っておくべき基本知識を30のキーワードでわかりやすく解説。

*パーソナリティは一貫しているのか、知能はIQで測ることができるのか、
どんなパーソナリティだと病気を発症しやすいのかなど、身近な題材を扱います。


著者

杉山憲司(東洋大学名誉教授)
小塩真司(早稲田大学文学学術院教授)

キーワード心理学 シリーズ

 


12月中旬発売予定
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新社会学研究 2021年 第6号

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好井裕明・三浦耕吉郎・小川博司・樫田美雄・栗田宣義 編
A5判並製270頁・本体2100円+税
ISBN 978-4-7885-1746-2 C3036
分野=社会学・社会問題


特集「旅する人生の社会学」にはじまり、「流行と集合行動の社会学」では、SNSで繋がる女性たちの集団トレーニングやテレビまんが、
性的マイノリティのパレード、社会運動を題材に、流行と集合行動という社会学誕生以来の課題に向き合う。

*新連載「エピジェネティクス社会学」が今号より開始。遺伝子・個人・社会、この三者の相互作用を射程に収め、社会学のあらたなモデルを開拓する。

 


12月中旬発売予定
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アフターコロナの観光学

――COVID-19以後の「新しい観光様式」
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遠藤英樹 編著
四六判並製240頁・本体2600円+税
ISBN 978-4-7885-1747-9 C1026
分野=観光学・社会問題


観光はモビリティの現代を象徴する産業であるが、コロナ禍で世界的に移動を禁じられてしまった。しかしそのなかで観光とは何かが露わになる。バーチャル観光、オンラインツアー、地域密着型の持続可能な旅など、コロナ後の観光の新しい可能性を展望。

*デジタルテクノロジーの進展にともなう〈社会の変容〉により、観光そのものが見たことのないものに変容しようとしていることを明らかする。

*執筆者は、須藤廣、神田孝治、橋本和也、松本健太郎、高岡文章など13氏。


著者 

遠藤英樹(立命館大学文学部教授)

 


12月中旬発売予定
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孤独と出会いの映画論
――スクリーンに映る都市の日常
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木本 伸 著
四六判並製228頁・本体2600円+税
ISBN 978-4-7885-1748-6 C1074
分野=映画・現代文化


本書は「映画に問い直された著者の日常の素描集であり、映画との対話の記録」と著者が言うように、監督、役者、原作などにはほとんど言及せず、映画が問いかけてくるものだけを見つめ、映画そのもの(核心)に迫ろうとする全く新しいタイプの映画論。

著者

木本 伸(立命館大学経営学部教授)

 


12月下旬発売予定
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声の文学

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西 成彦 著
四六判並製264頁・本体2400円+税
ISBN 978-4-7885-1749-3 C1090
分野=文学・歴史・哲学

小説の中で囁かれる声、あるいは「研究」のために収集されなくてはならなかった声。それらの多くは「非主流者」達の「個」としての複数の抵抗の声であり、歴史のうねりの大きさを象徴する。「声」が力強い言葉へと文脈化される道程を追う画期的な書。


*戦時性暴力、ジェノサイド、ミソジニー。あらゆる暴力下に生きた人々の「声」を我々の現在の「生」へと結びつける。


著者

西 成彦(立命館大学先端総合学術研究科名誉教授)

 

 

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編集後記

この2年間におよぶコロナ禍のもと、学術系学会の大会もウェブでの開催に完全に移行した。それにともない学会での展示販売がなくなったことは、出版社としてたいへん困っている。学会での展示は書籍を売るのも重要なのだが、こんな新刊がでましたと知ってもらう宣伝の機会としてじつに大きかった。現状バナー広告などでページへの誘導するぐらいのことしかできず、学会販売が再開される日は来ないという予想のもと、なにかいいアイデアはないかと模索している。

そんななか日本質的心理学会では、「出版社コーナー」というコマを設けていただき、新刊を紹介するたいへん貴重な機会をいただいた。
参加社は弊社のみで、他社の方も参加すればいいと思うと同時に、その場合は時間も足りず、話もあまりできないだろうと想像する。弊社にとってはとてもぜいたくな時間であった。

日本社会学会では「SpatialChat」(スペチャ)を利用して、販売展示を模した空間を再現する試みが企画されていた。今回参加することができなかったので、実際どんなものだったかわからないけれど、ウェブ上にブースを設置し、書籍を陳列したり、また来場した方とお話しできたりと実際に近いことができそうな面白そうなサービスだった。売れない店舗の来訪者もなく、ぼーっと所在なくイスに座ってる感じも再現できそうだ。

『送別の餃子』井口淳子著 灯光社
著者は民族音楽学の研究者。三〇年以上におよぶ中国農村や都市のフィールドワークのなかで、忘れがたい人々との記憶を一コマ一コマを文章でよみがえらせるように本書を書いたと著者はいう。論文や研究書は多く書いてきたが、そこではけっして書かれることのない人々が本書の主人公だ。各章に登場する人びとのなんと魅力的なことだろうか。とくに印象的な人物を二人あげたい。第一章の高老子と、第一二章の台湾人音楽学者の丁氏である。高老子は県の下級役人でありかつ作家、丁氏はパリ在住のさえないファッションのおじさん。市井のふつうの人間がじつは傑物であるというこの変身譚は、私にとって人間の計り知れなさを知る、人に畏怖することを覚えるお話であった。書名は「送行餃子、迎客麺」ということばからきている。麺ははじめて出会ったときに、餃子は送別のときにつくるという意味だ。読み終わってからもじつに味わい深い書名だ。 (中山)
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書評 渡辺恒夫著『明日からネットで始める現象学』@「こころと文化」2021年9月

渡辺恒夫著『明日からネットで始める現象学』の書評が、「こころと文化」2021年9月に掲載されました。評者は大塚公一郎氏。ご書評くださいました先生、掲載誌ご担当者様に心よりお礼申し上げます。

 

・・・・・・本書の意義のひとつは、現象学、とくに、フッサールの現象学が、いまなお、いや、いまだからこそ、現代のわれわれが直面するこころの病いを含む諸問題、たとえば、心理学、精神医学、医療福祉領域、人文科学、社会科学領域における諸問題に取り組む際にどれだけ貴重で有用な手がかりを提供するかを、「高校生でもわかるどころか、高校生でも研究できるやりかた」で鮮やかに示したところにある。


本書では、現象学超入門とされた二つの章があり、ほとんど予備知識を持たない読者も現象学のエッセンスを理解できるよう配慮されている。そもそもフッサールの現象学は、心理学として出発しながら、その後の彼の学説の展開のなかで、超越論的現象学と心理学的現象学というべき、区別されるべき二本柱に分岐したことが強調される。本書でいう現象学とはもっぱら現象学的心理学とされ、現象学的精神医学の難解さとその普及の限界は、主に、哲学としての超越論的現象学の重視と、心理学としての現象学の軽視にあったのではないか著者は指摘する。とはいえ、フッサールが超越論的現象学の二つの重要な方法とした、現象学的還元(著者によって、反省によって、「思い込み」を「現象」という確実な知識へと還元することときわめて明快に定義される)と本質観取(前者によって得られた認識が、いつどこでも通用するという意味で普通妥当性があるか否かの確認とされる)は、現象学的心理学にとっても主要な方法となる。
 本書に限らず、氏の著作の説得力と魅力は、自身が創案した現象学的心理学の方法を、実際のデータに適用してみて、その結果から妥当性の検証をしてみせることにある。上記の二つの方法は、著者自身が夢日記をつけることによって得た一連の夢記録に適用される。詳細は本書で確認してもらいたいが、その成果は「夢は現象学への王道である」という氏のかねてからの主張を裏づける見事なもので、もって、氏を斯界の第一人者とするゆえんである。

 本奮の21世紀に生きる私たちのこころの問題に関連したアクチュアリティをさらに高めているのは、第Ⅱ部応用編の第5章現代へ向かう現象学の展開(一)哲学篇のハイデガーからリクールまでの5-3解釈学的転回の時代(1960年~2006年)のあたりから、第6挙「コミュ障」の当事者研究―インターネット相談事例をもとに―かけての展開である、「解釈学的循環」、「地平融合」といった概念で名高いドイツの哲学者であるガダマーの解釈学的現象学やフランス現象学の最後の巨匠といわれたリクールのナラティブ現象学のエッセンスが、著者独自の翻案によって、インターネット上に流布している「コミュ障」の当事者の相談のトピックスとそれに対するレスのテクスト分析のための方法へと応用される。・・・・・・

本誌の読者は、本書の問題意識と主張が、こころの問題とその対処(治療、癒し)をめぐって、近年、注目されるようになった、そして、現在もますます活発な議論がなされている主要ないくつかのトピックスに触れていることに気づかれるだろう。たとえば、一連の当事者研究の成果を取り入れたかたちでの精神医療や心理療法に生じつつある変化(たとえば、オープンダイアローグもそれに含まれる)。「こころの病い」の医療化、医学化、福祉化に対する批判などがあげられる。また、COVID-19のパンデミック下で、急速に需要と関心が高まった遠隔心理療法の望ましいあり方についても、本書は示唆を与えてくれるものである。幅広い読者にお薦めしたい好著である

 

9784788517295 明日からネットで始める現象学
夢分析からコミュ障当事者研究まで
渡辺恒夫著
出版年月日 2021/06/20
ISBN 9784788517295
四六判224頁
定価 2,310円
在庫 在庫あり

 

 

 

対談 小平麻衣子 内藤千珠子 「文学的想像力の可能性」@図書新聞 2021年11月13日付

対談 小平麻衣子 内藤千珠子 「文学的想像力の可能性」が、「図書新聞」2021年11月13日付に掲載されました。内藤千珠子著『「アイドルの国」の性暴力』をめぐっての対談です。小平先生、内藤先生、「図書新聞」ご担当者様、ありがとうございました。こころからお礼申し上げます。

・・・・・・

小平 たとえば、女性として承認される規範的なあり方を演じていくのがいいか、それともそれを拒否するのがいいかというのは、一つの主張として述べることはできません。何がいいか悪いかと言うことも、個別の現実と離れた二元的な抽象思考に与してしまうことになるわけで、それを突破する前向きな力はある瞬間の、突発的なものとしてしか現れません。しかし、それが一つの大きな塊になったときには、ある制度として他のものに抑圧的に働くこともありますので、そうした事情を的確に汲み取るために、曖昧にも見えるけれど繊細な語りを提示してくれるのが小説の力だと思います。本書で特に面白いのは、やはり小説の読み込み箇所であって、桐野夏生や松田青子をはじめとする現代作家の小説から、戦時中に移動し続けた作家林芙美子や、女性革命家の金子文子まで、具体的なテクストに深く入り込みながら意味を解きほぐしています。いろいろ考えさせられ、読むのに時間がかかった一冊でしたね。

内藤 曖昧なものを小説の言葉を通して、文学研究でなければできないという説得力を持って実践できるように努力を重ねたいです。「アイドル」という記号も、「慰安婦」という記号も、曖昧な部分を考えることで開かれる地平があるように感じてきました。明快な立場をもたないとなかなか語りにくい主題ですが、いずれも、文学的想像力のなかで考えたかった。最初は、「慰安婦」という記号を自分自身の日常につなげて考えたいという主題がありましたが、その過程で現代のアイドルが地下アイドルを経由して転換し、若い女性たちにとって、日常のなかに現われる物語の次元が更新されていることに気づきました。問題を回避せず、自分にとっての日常の現場のレベルで考察することを可能にするフレームをつくるためにおどうすればいいか、自分なりに覚悟を持って思考を積み重ねてきたように思います。

 人が一生懸命に生きようとしたときに、今あるシステムは自分の目の前にある物語に反映されて、どう生きるのか、あるいは生きさせられるのかを左右しますよね。女性の場合は自発性も含めて、娼婦的なイメージを分有させられ、性暴力を内包した物語が自分を取り巻いている。社会にも暗黙の前提として共有され、さまざまな属性や立場を持った人たちが、互いに目を逸らしあっている。それをいかに挑発的なかたちで問題化するか考え、「アイドル」と「慰安婦」という記号をつなぐことで可視化し、共有していく地点をつくりだしたいという思いがありました。今回、フェミニズムと文学が交差する地点でお仕事を重ねてこられた小平さんと一緒に語り合えたことで、視界が開け、さらに考えたいことが広がりました。

・・・・・・

 

9784788517349_20211110161701

著者 内藤 千珠子
ジャンル 文学・エッセイ
出版年月日 2021/08/05
ISBN 9784788517349
判型・ページ数 4-6・288ページ
定価 3,190円(本体2,900円+税)
在庫 在庫あり

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書評 中山 元 著『わたしたちはなぜ笑うのか』@北國新聞 2021年10月30日付 ほか

中山 元 著『わたしたちはなぜ笑うのか』の書評が、北國新聞 2021年10月30日付 に掲載されました。同記事は琉球新報、沖縄タイムズ紙 下野新聞ほかに掲載されました。評者は清水義範氏。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さま、ありがとうございます。こころよりお礼申し上げます。

 

生の本質につながる原理

・・・・・・

(しかしながら)本書を読んで笑いが完全に解明されることはない。これは非常にまじめな書物であり、安易な結論にはとびつかないのだ。笑うことの原理は広くて深くて生きることの本質につながっている。だから笑いへの思索が結論にたどり着くことはないのだ。

 本書のなかでは近代の笑いについて六つの理論が考察されているが、よくわかるひとつの理論に到達することはない。真面目な考察とはそういうものだ。
 
 本書の最終章は「自由と治療の手段としての笑い」である。著者が、笑いには力がある、と考えていることがここでもわかる。そして、マスクで笑いを隠さなければならない今だからこそ、笑いの力を信じてほほ笑みを忘れないようにしようという著者の主張は、何より力強く我々の心に訴えかけてくるのである。笑いは力だったのだ。





9784788517356

著者 中山 元
ジャンル 哲学・思想
出版年月日 2021/08/05
ISBN 9784788517356
判型・ページ数 4-6・226ページ
定価 2,530円(本体2,300円+税)
在庫 在庫あり

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書評 ジョルダン・サンド著『東京ヴァナキュラー』@朝日新聞 2021年11月6日付

ジョルダン・サンド著『東京ヴァナキュラー』(池田真歩訳)の書評が、朝日新聞 2021年11月6日付に掲載されました。
評者は戸邉秀明氏。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

・・・・・・1980年代、東京では歴史を再発見するいくつかの試みが、ほぼ同時に始まる。下町の「暮らしぶり」を聞き取り、「まちづくり」に活かした「地域雑誌 谷中・根津・千駄木」。街路の隅に佇む過去の痕跡が、「無用の長物」ゆえに宿す面白さを捉えた赤瀬川原平たちの路上観察学。庶民の生活史を中心に据えた江戸東京博物館の展示構想。

 本書はこれらを、人々が都市の日常に改めて価値を見いだし、抵抗の糧とする技法として読み解く。議論の起点を、反戦運動が占拠した69年の新宿西口地下広場に置くのは、そのためだ。この時、市民を排除すべく、「広場」は「通路」へ改称された。儀礼や記念碑で公衆の一体化を促す広場を奪い合う闘争の仕方は、ひとたび挫折する。・・・・・・
日常や周縁も、脚光を浴びればすぐに高値がつき、出版や観光で消費された。だが当事者たちはジレンマを承知でメディアを利用し、「おどけつつ」「生真面目に」訴えて、「成功を見た叛乱」となった。著者の80年代評価は、消費文化論とは一線を画す。・・・・・・

>>>>>朝日新聞 好書好日ページへ(全文を読む)

 

 

 

9784788517387

  

著者 J.サンド
池田 真歩
ジャンル 社会学
出版年月日 2021/09/24
ISBN 9784788517387
判型・ページ数 4-6・304ページ
定価 3,960円(本体3,600円+税)
在庫 在庫あり

書評 猿谷弘江著『六〇年安保闘争と知識人・学生・労働者』@2021年11月6日付

の書評が、「図書新聞」2021年11月6日号に掲載されました。評者は小杉亮子氏。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

・・・・・・著者は、六〇年安保闘争に参加した人びとのなかでも、知識人、学生、労働者に着目する。知識人は、清水幾太郎や久野収をはじめ、さまざまな運動組織や団体をつくり、声明を出し、抗議行動の現場に駆けつけた。学生運動では、ブントが主導する全学連主流派の国会突入は、多くの人びとの耳目を安保改定へと引きつけたし、全学連反主流派も多くの学生をデモ等に動員した。労働運動では、先ほど触れたとおり、大規模なストライキが敢行された。

 本書が論じるのは、六〇年安保闘争で、この三者がひとつの大規模な社会運動をどのようにつくりあげたか、ということではない。そうではなく、六〇年安保闘争において、これらの異質でまじわりがたい社会運動が、いかにそれぞれ固有の行動をとっていたか、というところにこそ関心が向けられている。これが本書の最大の特徴である。六〇年安保闘争はひとつの大規模な運動ではなく、「複数の運動が「たまたま」といえるタイミングで「接合」(conjuncture)した」(本書二六七頁)結果として生じた運動だったという。六〇年安保闘争の「脱神話化」を試みていると表現したのは、この点である。

・・・・・・ただ、本書を読み通したあとも、六〇年安保闘争を、知識人、学生、労働者という、複数の異なる社会運動がたまたまといえるタイミングで接合して生じた現象だったと言い切っていいものだろうか、という疑問は残った。・・・・・・安保条約改定阻止国民会議という、六〇年安保闘争をコーディネートする立場のネットワークがあったことは著者も指摘しており、異質な運動のあいだにも接触点はあったといえる。・・・・・・異質な運動が闘争のなかで接触することによってなにが起きていたのかまで明らかにされてこそ、わたしたちは六〇年安保闘争をよりよく知ることができるのではないだろうか。



9784788517172  『六〇年安保闘争と知識人・学生・労働者』
  社会運動の歴史社会学

 著者 猿谷 弘江 著
 ジャンル 社会学 > 歴史社会学
 出版年月日 2021/03/31
 ISBN 9784788517172
判型・ページ数 A5・392ページ
 定価 5,500円(本体5,000円+税)
 在庫 在庫あり

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