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書評 猿谷弘江著『六〇年安保闘争と知識人・学生・労働者』@2021年11月6日付

の書評が、「図書新聞」2021年11月6日号に掲載されました。評者は小杉亮子氏。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

・・・・・・著者は、六〇年安保闘争に参加した人びとのなかでも、知識人、学生、労働者に着目する。知識人は、清水幾太郎や久野収をはじめ、さまざまな運動組織や団体をつくり、声明を出し、抗議行動の現場に駆けつけた。学生運動では、ブントが主導する全学連主流派の国会突入は、多くの人びとの耳目を安保改定へと引きつけたし、全学連反主流派も多くの学生をデモ等に動員した。労働運動では、先ほど触れたとおり、大規模なストライキが敢行された。

 本書が論じるのは、六〇年安保闘争で、この三者がひとつの大規模な社会運動をどのようにつくりあげたか、ということではない。そうではなく、六〇年安保闘争において、これらの異質でまじわりがたい社会運動が、いかにそれぞれ固有の行動をとっていたか、というところにこそ関心が向けられている。これが本書の最大の特徴である。六〇年安保闘争はひとつの大規模な運動ではなく、「複数の運動が「たまたま」といえるタイミングで「接合」(conjuncture)した」(本書二六七頁)結果として生じた運動だったという。六〇年安保闘争の「脱神話化」を試みていると表現したのは、この点である。

・・・・・・ただ、本書を読み通したあとも、六〇年安保闘争を、知識人、学生、労働者という、複数の異なる社会運動がたまたまといえるタイミングで接合して生じた現象だったと言い切っていいものだろうか、という疑問は残った。・・・・・・安保条約改定阻止国民会議という、六〇年安保闘争をコーディネートする立場のネットワークがあったことは著者も指摘しており、異質な運動のあいだにも接触点はあったといえる。・・・・・・異質な運動が闘争のなかで接触することによってなにが起きていたのかまで明らかにされてこそ、わたしたちは六〇年安保闘争をよりよく知ることができるのではないだろうか。



9784788517172  『六〇年安保闘争と知識人・学生・労働者』
  社会運動の歴史社会学

 著者 猿谷 弘江 著
 ジャンル 社会学 > 歴史社会学
 出版年月日 2021/03/31
 ISBN 9784788517172
判型・ページ数 A5・392ページ
 定価 5,500円(本体5,000円+税)
 在庫 在庫あり

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