書評 メディアがひらく運動史@図書新聞 2021年10月23日付
大野 光明・小杉 亮子・松井 隆志 編『メディアがひらく運動史』
の書評が、「図書新聞」2021年10月23日付に掲載されました。評者は久保田隆氏。評者の先生、掲載紙ご担当者のかたにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。
・・・・・・編者たちは特集の意図を示しながら、「運動の中で生み出されたメディアの集積は、それ自体が別の運動的な営みにつながっていく」と記している。確かに、それが例えビラや機関誌紙であったとしても、内包されている言語の集積は、思念の有り様を潜在させているといっていい。・・・・・・
三橋敏明「日大闘争は、何を「経験/記録」したのか」では、日大全共闘書記長の田村正敏と七三年に、「無尽出版会」を設立して『無尽』に自らの経験を執筆し、日大闘争の「記録」づくりに取り組み」、四号まで刊行し、以後の「記録」づくりをめぐって述べていく。わたしが、当時、『無尽』創刊号に関心が向いたのはいうまでもない。「創刊号jは巻頭に私の拙文が置かれ、秋田明大とアナキスト詩人秋山清の対談「何が続くか」をトップに、田村正敏の「出発することの意味(1)、山本義隆の「加藤一郎公判調書」などを掲載して刊行された。」
秋山は、日大予科入学という経歴はあるが、なによりも田村の熱心な誘いが大きかったと思われる。
わたしは、日大闘争、東大闘争等を、全共闘運動といった総称で語られることに、幾らか逡巡する思いを抱き続けてきた。三橋の論稿のなかに、次のような箇所がある。「日大闘争の行方は不透明になったが、バリケード生活に定着していた「愉快な時間」は維持されかわっていかなかった。日大闘争の方針や展望は重要だったが、私には自らの意思と力で手に入れた「愉快な時間」を、いつまでもいつまでも持続させたかった。」
わたしは、この文章に接して、いまだからいえる感慨がある。三橋が「時間」という認識なら、わたしは、「関係性」という感覚があったと思い返している。「愉快な関係性」と、いまだからいえるのかもしれないが、一人一人の考え方が違っていても、なにか分かり合える関係性というものが、生起していたことを思い出すのだ・・・・・・
社会運動史研究 3
『メディアがひらく運動史』
著者 大野 光明 編
小杉 亮子 編
松井 隆志 編
出版年月日 2021/07/15
ISBN 9784788517332
判型・ページ数 A5・240ページ
定価 2,640円(本体2,400円+税)
在庫 在庫あり
« ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第214号■ | トップページ | 書評 内藤千珠子著『「アイドルの国の性暴力』@島根日日新聞 9月28日付 »
「書評」カテゴリの記事
- 書評 菅沼 明正 著『流転する伝統』@千葉日報 2026年5月26日付ほか(2026.05.27)
- 紹介 「毎日新聞」2026年5月4日付「今を生きる、今を書く:今読むべき一冊(その5)」=町田樹/67(2026.05.12)
- 書評 ポール・リクール 著 山野 弘樹 訳『イマジネーション講義』@2026年5月8日付「週刊読書人」(2026.05.08)
- 書評 菅沼 明正 著『流転する伝統』@朝日新聞 2026年5月2日付(2026.05.07)
- 書評 巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』@京都新聞 2026年4月26日付(2026.04.27)
« ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第214号■ | トップページ | 書評 内藤千珠子著『「アイドルの国の性暴力』@島根日日新聞 9月28日付 »


コメント