« 紹介 山愛美『村上春樹、方法としての小説』@7月26日付京都新聞 | トップページ | ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第202号■ »

2020年8月17日 (月)

書評 石井宏典著『根の場所をまもる』@図書新聞 2020年8月15日

石井宏典著『根の場所をまもる』の書評が、図書新聞 2020年8月15日付 に掲載されました。
評者は武井基晃氏。評者の先生、掲載紙ご担当者さまに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました

 

まずフィールドワークにおける、著者・石井宏典氏とムラの方々の関係に目を向けよう。そこには調査者と被調査者にはとどまらない生き生きとした交流が描き出されている。

儀礼の調査において著者はヌル(=ノロ。神人)にお供する雑用係のような役目も担いながらその後ろで一緒に手を合わせて参加する(二〇頁)。あるとき天候のせいで浜を渡る行事が実施できなかった際、ヌルに「今日は渡れなくて残念でしたね」と投げかければ「あんたが残念だったでしょう」と返される(一九七頁)。著者がヤマトゥグチ(共通語)で投げかけることは、ムラの方々にヤマトゥグチで語ってもらうことを強いるわけだが、これについて「このところヌルさんは石井さんとよく話しているから、ヤマトゥグチが上手になったさ」と冗談が交わされる(六五~六六頁)。

シニグ行事において必要なウタムチ(歌い手)が足らずに録音テープの助けを借りたのを見て、かつののシニグを知っている著者も思いがけない展開を前にして動揺する(一二七頁)。祭祀舞踊ウシデーク(=シニグ舞)の担い手女性の霊前に手を合わせに行った時には、帰り際その娘さんに「何年かしてウシデークの輪に加わってください」、(お母さんも)「それを待っているはずですから」と声をかけ、かならずや良き後継者になると思うと確信する(一五九~一六〇頁)。


・・・・・・
・・・・・・

このように長きにわたる数年来の関係の継続と関心こそが、著者が専門とする社会心理学や多くの人文社会系の学問が依拠するフィールドワークという手法の醍醐味であり真骨頂である。・・・・・・



   
   
   
   
   
   

9784788516731 根の場所をまもる
沖縄・備瀬ムラの神人たちと伝統行事の継承
著者 石井 宏典 著
出版年月日 2020/03/25
ISBN 9784788516731
4-6・290頁
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり

 

 

|

« 紹介 山愛美『村上春樹、方法としての小説』@7月26日付京都新聞 | トップページ | ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第202号■ »

書評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 紹介 山愛美『村上春樹、方法としての小説』@7月26日付京都新聞 | トップページ | ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第202号■ »