書評 西山けい子著『エドガー・アラン・ポー』@「図書新聞」2020年6月13日付
西山けい子著『エドガー・アラン・ポー』の書評が「図書新聞」2020年6月13日付 に掲載されました。評者は福島祥一郎氏。
ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さまに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました
ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さまに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました
「不気味なもの」の向こう側
アカデミックな研究分野には多かれ少なかれ「流行」というものがあるが、文学研究もその例に漏れず、これまでいくつものトレンドが生まれてきた。例えば、1980年代初頭にスティーヴン・グリーンブラッドとキャサリン・ギャラガーが創始した新歴史主義は、(彼らの意図とは必ずしも合致しない形で)それまでの批評理論に依拠した手法を書き換え、80年代後半から現在に至るまで、文化研究と並んで非常に強力な批評的視座を形成してきた。しかしながら本書は、そうした批評の「トレンド」に応答しつつも、心理学、現象学、そしてラカン理論に対する著者自身のゆるぎない関心にもとづき、ポーという作家の特異性に焦点を当て、ポー文学の本質とは何かを探求する。
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・・・・・・最後にひとつ付言したい。「群衆の人」に関する二つの章からはじまる本書は、疫病のナラティヴに関する論考で終わる。終章はまさに、新型コロナによって未曽有の混乱に陥っている現代の社会の苦境を予見するかのようでさえある。もちろん、出版の期日が現在のコロナ禍と重なったことは偶然であろう。しかし一方で、この論考が終章に置かれていることを考慮に入れ、さらにそこで鳴らされる生政治に対する警鐘を読めば、あるいみでそれは必然であったのかもしれない。いずれにせよ、本書は今まさに読まれるべき著作のひとつといえる。
西山けい子著『エドガー・アラン・ポー』
出版年月日 2020/03/10
ISBN 9784788516694
4-6判・328ページ
定価 本体3,200円+税
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