« 書評 堀井一摩 著『国民国家と不気味なもの 』 6月27日 2020年付「図書新聞」 | トップページ | 書評 堀井一摩 著『国民国家と不気味なもの 』 @「週刊読書人」6月26日付 2020年 »

2020年6月27日 (土)

書評 大野光明・小杉亮子・松井隆志編『「1968」を編みなおす』、図書新聞2020年7月4日号

大野光明・小杉亮子・松井隆志編『「1968」を編みなおす 社会運動史研究2』の書評が、図書新聞2020年7月4日号に掲載されました。評者は久保 隆 氏。評者の先生、掲載紙ご担当者さまに深くお礼申し上げます。ありがとうございました



本書は、昨年の2月に創刊された『社会運動史研究』の第二集である。編者たちは、巻頭で次のように述べていく。
「一九六八年は世界同時多発的に社会運動の高揚が見られた年であり、日本でも、大学闘争やベトナム反戦運動をはじめとして、社会運動史にとって重要だと思われる出来事がさまざまに起こった。当時のグローバルな現象は「1968」と象徴的に呼ばれる。(略)
「1968」の言葉が指し示そうとする出来事は、確かに歴史的・社会的に重要である。しかし、いささか粗雑な「1968」のイメージは、その重要性を理解するためにこそ、いったんほどいてみるべきだ。運動史のディテールに立ち返って再検証し、これまでのイメージや理論を書き換えていくことが、一九六八年から半世紀以上が経過した今だからこそ、必要だと私たちは考えた。」

 確かに、パリ五月革命と呼ばれた運動の中心にいたダニエル・コーン=バンディはアナキストだった。全共闘運動が広く生起していったのは党派が主導していった部分もかなりあるが、ノンセクト学生の多くが参加したことによって、可能となったことを忘れてはならない。運動論的な視線だけでは、必ずしもすべてを捉えていくことができないのは、自明なことである。・・・・・・


・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
『東大闘争の語り』(二〇一八年)を著した小杉亮子は「“1968”の学生運動を学びほぐす――東大闘争論の検討」と題して、「二〇〇八年前後から、(略)一八年前後までに、当事者や研究者によって刊行された東大闘争論」を取り上げて論及していく。そして『東大闘争の語り』のなかでも提示した「予示的政治」について述べていく。

「予示的政治とは、遠い理想や目標を設定せず、運動のなかの実践や仲間との関係性のつくりかたによって望ましい社会像を予め示そうとする運動原理である。この予示的政治への志向性は、ノンセクト・ラディカルを中心とする東大全共闘派の学生たちが、新旧左翼政党・党派の運動原理である「戦略的政治」を批判し、それとは異なる運動を追求したことから形成された。」

運動というものは、主導者がいて、共感していく人たちが連動していくことではない。そこにひとつの関係性、つまり開かれた共同性を形成していくことが切実なことなのだ。・・・・・・

 

 

 

9784788516649  「1968」を編みなおす
社会運動史研究 2

大野光明・小杉亮子・松井隆志 編
出版年月日2020/04/20
ISBN 9784788516649
A5判232頁
定価 本体2,300円+税

 

|

« 書評 堀井一摩 著『国民国家と不気味なもの 』 6月27日 2020年付「図書新聞」 | トップページ | 書評 堀井一摩 著『国民国家と不気味なもの 』 @「週刊読書人」6月26日付 2020年 »

書評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 書評 堀井一摩 著『国民国家と不気味なもの 』 6月27日 2020年付「図書新聞」 | トップページ | 書評 堀井一摩 著『国民国家と不気味なもの 』 @「週刊読書人」6月26日付 2020年 »