書評 大野光明・小杉亮子・松井隆志編『「1968」を編みなおす 社会運動史研究2』@週刊読書人2020年6月26日号 掲載
大野光明・小杉亮子・松井隆志編『「1968」を編みなおす 社会運動史研究2』の書評が、週刊読書人2020年6月26日号に掲載されました。評者は小林哲夫氏。評者の先生、掲載紙ご担当者さまに深くお礼申し上げます。ありがとうございました
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・・・・・・学生運動をふり返るとき、いまだにメディアあるいはアカデミズムまでもが一九六九年の安田講堂と一九七二年の連合赤軍あさま山荘を象徴的に語ってしまう。そこから暴力性と殺人が強調されて、当時、学生が時代にどう向き合い、何を求めてきたかが置き去りにされてしまった。一九七〇年代以降、学生と社会との関わり合いが、きわめて希薄になってしまう。それによって、日本の社会で学生運動、学生による社会運動を受容する土壌までもなかなか作れなかった。学生主体の運動に対して国民の賛同が得られない、そもそも学生自身が運動の主体にならない、という時代が今日まで続いている。一九八〇年代の反核運動、二〇〇〇年代のイラク反戦運動、二〇一〇年代のSEALDsによる安保関連法案反対運動など、学生が表舞台に立つことはあったが、多数派とは言えなかった。それでもどんな時代であっても、社会に向き合い、現体制に異議を唱える学生はいる。昨今ではコロナウイルス感染拡大防止で休校、オンライン授業になった分、授業料の返還を求める運動だ。立派な学生による社会運動である。現在の学生が社会に訴える術とし、過去の運動から学ぶこともあろう。そのために学生運動史、社会運動史の確立が必要となる。学生運動経験者は自らの経験を墓場まで持っていかず、負の遺産まで詳らかにする。それを学者、メディアがきちんと検証する。いつまでも安田講堂と連赤だけで学生運動が語られることがないように。
大野光明・小杉亮子・松井隆志 編
出版年月日2020/04/20
ISBN 9784788516649
A5判232頁
定価 本体2,300円+税
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