書評 西山けい子著『エドガー・アラン・ポー』@週刊読書人 2020年5月15日付
西山けい子著『エドガー・アラン・ポー』の書評が「週刊読書人」2020年5月15日付 に掲載されました。評者は平野幸彦氏。
ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さまに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました
ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さまに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました
鮮明なポー像を脳裏に残す
五部十二章から成る本書の核というべきは、やはり前半の〈自己〉と〈他者〉あるいは〈外界〉、そしてそれらの間に存在する〈境界〉をめぐる議論であろう。著者はポーのテクストの精緻な読みを展開する一方、ルネ・ジラールの〈欲望の三角形〉モデルやジャック・ラカンの〈象徴界〉〈想像界〉〈現実界〉の三概念などの理論的枠組みを援用しつつ、前記の主題の解明に迫ってゆく。そしてこれらポーのトレードマークともいうべき〈恐怖もの〉や〈探偵もの〉の作品群が、一見それらとは無縁ないしは関係が希薄に思われる〈滑稽もの〉や宇宙論へと繋げられていく手捌きは実に見事で説得力がある。・・・・・・ポー研究者はもちろん、広く文学を愛する一般読者にもお薦めできる好著といえよう。

『エドガー・アラン・ポー』
出版年月日 2020/03/10
ISBN 9784788516694
4-6判・328ページ
定価 本体3,200円+税
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