書評 実重重実著『生物に世界はどう見えるか』、中村桂子氏 評@公明新聞
実重重実著『生物に世界はどう見えるか』が、2020年3月30日付 公明新聞にて書評されました。評者は中村桂子氏
評者の先生、掲載紙ご担当者さま、ありがとうございました。こころよりお礼申し上げます。
ヒト以外に意識がある事実
地球上の多様な生物はそれぞれ独自の認識世界を持つ。ドイツの動物学者ユクスキュルは、「どの主体も、事物のある特性と自分との関係を蜘蛛の糸のように紡ぎ出し、自分の存在を支えるしっかりした網に織り上げる」と言い、これを「環世界」と呼んだ。近年の生物学はこれを支持する成果をあげている。
そこで著者は、ゾウリムシ、大腸菌、植物、カビ・キノコ、ミミズ、昆虫、魚、鳥、哺乳類のそれぞれに「世界はどう見えるか」を見ていく。そして、単細胞にも感覚があり、進化と共に分岐し人間の感覚にまでつながっていることを具体的に示すのである。
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実は2012年に「意識に関するケンブリッジ宣言」でヒト以外にも意識があることが神経科学の専門家によって認められた。本書はこれを事実で示そうとするものであり、感覚と空間・時間の認識が階層をなして進化してきた中に人間を位置づける。重要で魅力的な視点であるJT生命誌研究館館長 中村桂子氏 評
実重 重実 著
生物に世界はどう見えるか
感覚と意識の階層進化
2019/12/01
ISBN 9784788516595
4-6判・224頁
定価 本体2400円+税
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