書評 上杉忍著『ハリエット・タブマン』@高知新聞、熊本日日新聞、琉球新報、秋田魁新報ほか
四六判並製288頁
定価:本体3200円+税
発売日 2019年3月15日
ISBN 978-4-7885-1608-3
2019年4月21日付高知新聞、熊本日日新聞、琉球新報、秋田さきがけほか(共同通信配信)にて、書評掲載されました。評者は江刺昭子氏。掲載紙ご担当者、ご書評くださいました先生に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
奴隷を救出した黒人女性
2020年は米国の女性参政権獲得100周年にあたり、新デザインの20ドル紙幣の表にハリエット・タブマンの肖像掲載が予定されている。黒人女性が描かれるのは初めてだが、白人至上主義的な姿勢が強いトランプ大統領の政権下で、果たして実現するのだろうか。
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彼女が1822年生まれとほぼ確定したのは歴史家の調査による。本書は、スリルに満ちたその生涯を時代背景とともにたどった伝記である。
27歳の時北部へ逃げたタブマンは、野外労働で鍛えた体力と情報収集力を駆使して逃亡奴隷支援組織である「地下鉄道運動」に加わる。白人の奴隷制度廃止主義者から寄付を集め、一説によると南北戦争までの約10年間に計14回、66人から77人を救出して自由州へ送り込んだ。「黒いモーゼ」と呼ばれたのは誰かの指示に従うのではなく、あくまでも自身の良心に従って行動したからだ。
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著者は歴史家の研究成果によりつつ、91歳で死去したタブマンを、超人的なヒロインに祭り上げることを注意深く避けて実像に迫っている。人種と性別の複合差別の中、精力的な活動を続け、信念を貫いた姿に衝撃を受けた。
(その後 4月27日 福島民報、4月28日 山陽新聞・福島新聞・京都新聞・宮﨑新聞・山梨日日新聞、2019年5月5日 長崎新聞・山形新聞 、 5月12日 岩手日報・佐賀新聞、 5月19日 神奈川新聞・東奥日報5月26日 神戸新聞 に掲載)
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