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書評 ハンス=ジョージ・メラー著/吉澤夏子 訳 『ラディカル・ルーマン』

ハンス=ジョージ・メラー著/吉澤夏子 訳
ラディカル・ルーマン――必然性の哲学から偶有性の理論へ
の書評が、「図書新聞」7月7日号に掲載されました。評者は犬飼裕一氏。
評者の先生、書評誌担当者さまには心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

ラディカルという言葉の意味論的転換 犬飼裕一
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・・・・・・メラーは、もしもルーマンが明快な文章で書いたならば、「68年以降のドイツの学会から徹底的に排斥さてる恐れなしにはけっして言えるはずのなかった多くのことを実際にいうことができた」(19頁)と指摘する。それを晩年のインタビューにあるルーマンの表現を使って「トロイの木馬」と呼ぶ。ルーマンの「眠くなるような」文体は、内部に傭兵を隠した木馬であり、既存の学会や知的世界の城壁内に潜り込むための偽装でもあったと考えるのである。
ルーマンの考えでは、左翼が行ってきた資本主義への批判のような「視野の狭い批判」よりも、自分がやっているような「徹底的に構成された概念的な社会理論」の方が、「結果において、はるかにラディカルで不安を煽るもの」(20頁)なのである。
現にルーマンの理論では、従来の理論家や思想家が最終的に依存してきたヒューマニズムの前提が慎重に取り除かれ、代わりにルーマンが「機能」と呼ぶ概念によって分化したさまざまなコミュニケーションが登場する。ルーマンの「ラディカル」さは、単に政治的な見解の問題にとどまらない。近代哲学がプラトンやヘーゲルから哲学が受け継いだ魂と身体の二分法や、身体に対する魂の優位といった観念も、「ラディカルな反ヒューマニズム」の中に解消していく。
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9784788515536
ハンス=ジョージ・メラー 著/吉澤夏子 訳

 

 

四六判上製256頁
定価:本体3500円+税
発売日 18.1.31
ISBN 978-4-7885-1553-6

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