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書評 『はじめての沖縄』@新潮7月号

岸政彦著『はじめての沖縄』 の書評が「新潮」7月号に掲載されました。評者はミヤギフトシ氏。掲載紙ご担当者さま、評者の先生に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。このまま本書に収録されていてもおかしくないような、ミヤギさんの語りをまじえた最高の書評です。ぜひ全文を本誌でお読みいただきたいです。




沖縄の冬は寒い

沖縄の冬の寒さについて伝えることは難しい。例えば私が夏は苦手だとか泳げないと言うと、沖縄出身なのに?と相手は驚くが、まあそういう人もいるのだろうと納得する。でも、寒さは違う。あの寒さをなかなか信じてもらうことができないし、感じてもらえない。
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本書は沖縄を離れて随分経ち、リサーチや映像作品の撮影のために年に数回帰沖するような暮らしを送る私に、いくつもの気づきをもたらす。そして、誰に言っても共感してくれないであろうと思っていた些細なことも、この本で語る沖縄の人びとは言ってくれる。例えば川が羨ましかったこと、ウチナーグチもほとんどわからないし海ぶどうも沖縄にいた頃は口にしたことがなかったこと、独特の規範とコミュニティーの感覚・・・・・・未だそこに感じていた小さな違和感を私はうまく言語化できずにいるが、どうしてもそれが苦手で十代の私は沖縄を離れたいと思っていた。

 書評を、と依頼されたのに自分のことばかりを書いてしまう私は、本書に登場する沖縄語りをしたがるナイチャーとそう変わらないかもしれない。しかしまた、本書は私の中にある沖縄の記憶を呼び起こし、語りを誘発する。読んでいると、文字を通じてその向こうの著者と語り合っているような感覚になる。聞き取り調査に応じた沖縄の人びとが語るように、色々なことが脈絡なく思い出され、時に私自身もそれに驚き、忘れないようにと書きとめる。きっと本書がきっかけになり、様々な沖縄についての記憶が語られてゆくのだろう。本書のそんな寛容さに甘えるように、もうひとつだけ思い出したことを書く。
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9784788515628

岸政彦 著
はじめての沖縄
――

 

四六判並製240頁
定価:本体1300円+税
発売日 2018年5月5日
ISBN 978-4-7885-1562-8

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