新刊 小熊英二『決定版 日本という国』
この本が最初に出版されたのは、二〇〇六年でした。編集の方からの依頼は、「日本という国」の成り立ちを、一〇代にわかってもらえる本を書いてほしいということでした。
その二〇〇六年から、一二年がたちました。その間に日本社会も、日本をとりまく世界も、大きく変わりました。
日本社会についていえば、「格差社会」という言葉が流行語大賞にあがったのが、ちょうど二〇〇六年でした。それから世界金融危機がおこり、政権交代があり、震災と原発事故がおきました。二〇〇六年には、スマートフォンも発売されておらず、YouTubeもできたばかりでした。
また日本の国際的位置も、変わりました。たとえばドルで換算した中国のGDPは、二〇〇〇年には日本の約四分の一でした。それが二〇一〇年には日本を抜き、二〇一七年には日本の三倍近くになりました。そのほかにも、この一〇年の世界の変化には、講演や国際会議などで他国に行くたびに目をみはります。
しかし、日本の社会や国際的位置は大きく変わったけれど、変わっていないことがあります。それはこの本であつかった、明治からの近代化のあり方と、戦後からのアメリカとの関係です。
明治からの近代化のあり方は、いまでも日本に影響をのこしています。西洋に追いつき、追いこせ。植民地にされないために、強く豊かにならなくてはいけない。一言でいえば、・・・・・・・・
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