新刊 深谷直弘『原爆の記憶を継承する実践』
深谷直弘 著
原爆の記憶を継承する実践
――長崎の被爆遺構保存と平和活動の社会学的考察
A5判上製256ページ
定価:本体3500円+税
発売日 2018年4月20日
ISBN 978-4-7885-1579-6
4月3日配本、4月6日発売予定です。
原爆の記憶をどのように継承するのか ――問題の所在と研究方法
1 問題の所在
九州地方の一都市である長崎市は,1945年8月9日11時2分,原子爆弾の投下を受けた。広島に続く原爆によって,長崎の街は一瞬にして崩壊し,焼け野原となり,多くの人が亡くなった。そして現在も原爆被害の影響は消えていない。生き残った者たちは放射線の影響やトラウマなど,心身の苦しみを未だに抱えている。 1970年代頃から,毎年8月になるとマスメディアが戦争と原爆の話題を盛んに取り上げ,テレビでは6日の広島・平和記念公園の平和記念式典,9日の長崎の平和祈念像前の平和祈念式典をはじめとする原爆犠牲者慰霊の風景が映し出される。爆心地周辺は平和公園として整備され,毎年両都市に各100万人以上の人びとが訪れる場所になった。「ヒロシマ・ナガサキ」は日本の国民的記憶において主要な位置を占め,国民的アイデンティティの象徴する場所を形成している。 このように国民的/公共的な関心事となった・・・・・・・・
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