書評 日本記号学会 編 『 「美少女」の記号論』
日本記号学会 編 『 「美少女」の記号論 セミオトポス12――アンリアルな存在のリアリティ』が共同通信配信、新潟日報、東奥日報、長崎新聞ほか「気になる一冊」欄にて紹介されました(9月24日-)。記事ご担当者様、ありがとうございました。
アイコンで自己守る
「美少女」。文字面だけで、胸を騒がせる、美、少、女…・増え続けるアイドルたちをはじめ、2次元の世界では戦艦や動物、都道府県など、ありとあらゆる事物が擬人化され美少女となっている。しかし、はてさて美少女とは何か。小説の世界一つとってもナボコフの「ロリータ」と太宰治の「女生徒」、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の少女像はそれぞれ異なる。ならばと大学教授や評論家ら日本記号学会の面々が、まじめにその概念についてあれこれ議論したのが本書だ。小沢京子和洋女子大准教授によると、「美少女」という言葉が大衆的に使われ始めたのは1980年代後半。「国民的美少女コンテスト」が分水嶺であるという。美少女が「日本においては、女性が自分で主体的に選び取る(略)アイコンへと変化している」と指摘。「理想のアイドル」たらんと努力するアイドルや、コスプレをする人らがこれに当たる。そのアイコンを、自己を守る「よろい」とするのだ。パリ第8大学の大久保美紀非常勤講師も同様に「今熱心に『美少女』を追いかけるのは女性たち自身」とする。前川修神戸大教授に言わせれば、美少女は「どこにもいないにもかかわらず、どこにでもある記号」だ。美少女。それは学問の最先端でも、流し目をして消え去ってしまう、やはり手の届かない存在なのである。
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