書評 森 正人著『展示される大和魂――〈国民精神〉の系譜』
森 正人著『展示される大和魂――〈国民精神〉の系譜』の
書評が、2017年7月9日付北日本新聞に掲載されました。評者は雑賀恵子氏。
掲載紙ご担当者様、ご書評くださいました先生にこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。
......お題目や説教だけでは、国民の身体に刻み込まれはしない。近代国民国家として軍隊を持ち、国民に戦場に赴くことを納得させるためには、仕掛けが必要だった。天皇を頂点とした近代家族国家への忠誠を、楠木正成らの歴史上の人物に具現化し、モデル像を創り上げ、「展示」の対象にしていくのもその一つだ。「国体」が血肉化した正成像を創り、国民教化と思想善導を目指す団体が結成され、伝記が出版される......
不安であるからこそ、人は同調圧力に屈しやすい。だが、安易なナショナリズムに背を向け、各人が各人である孤独と不安に向き合いつつ国家を経由しない連帯の可能性を信じるために、本書は読まれるべきだ
森正人 著
四六判並製282頁
定価:本体2600円+税
発売日 17.3.31
ISBN 978-4-7885-1519-2
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