書評 熊谷高幸 著『自閉症と感覚過敏』@讀賣新聞2017年4月2日付書評欄
熊谷高幸 著自閉症と感覚過敏
の書評が、讀賣新聞2017年4月2日付書評欄に掲載されました。評者は伊藤亜紗氏。評者の先生、掲載紙ご担当者さま、ありがとうございました。こころよりお礼申しあげます。
・・・・・・自閉症当事者の多くに見られる感じ方の特徴は、過敏さと鈍感さの共存である。一見矛盾しているように見えるが、その仕組みはこうだ。ある刺激が入ってくる。するとそれを拡大して、細部まで詳しく見てしまう。すると許容量がいっぱいになり、他の刺激を取り入れることができなくなる。結果、見落としてしまうのである。・・・・・・
感じ方の特徴が分かれば、関わる仕方も見えてくる。感覚が固着しやすいから、「とりあえずやってみて、試行錯誤しなら進む」のが苦手だ。「迷いながら見つける」が難しいのである。ならばあらかじめ選択肢を用意しておき、「選びながら先に進む」支援が有効だ。今後さらなる展開が期待される新しいアプローチを切り開く一冊である。
熊谷高幸 著
自閉症と感覚過敏
――特有な世界はなぜ生まれ、どう支援すべきか?
四六判並製208頁
定価:本体1800円+税
発売日 17.1.27
ISBN 978-4-7885-1507-9
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