『霊性の震災学』、讀賣新聞3月7日付に関連記事「震災6年 文化でつなぐ(中)」
昨年出版致しました『霊性の震災学』、讀賣新聞 3月7日付に関連記事「震災6年 文化でつなぐ(中)」が掲載されました。記事は文化部 待田晋哉氏。記事ご担当者様にお礼申し上げます。
大学生とは、こんなによく笑うものか。東北学院大の金菱清教授と3年生のゼミ生に、宮城県中部にある七ヶ浜町の海岸を歩いてもらった。就職活動が不安などと言いながら、集まれば自然と楽しい雰囲気になる。
東日本大震災と地域のかかわりを学ぶ彼らは、多くが1995年-96年の生まれだ。同町に住む赤間由佳さん(21)は中学の卒業式後に被災した。小高い場所にある自宅の窓から、津波でほかの家が流されるのを見た。祖父を亡くし、母は時々、口数が少なくなる。
「おじいちゃんには、生きているときと同じように、母に大丈夫だよと声をかけてほしい」
笑顔の奥で、願っている。社会学を専攻する金菱教授は震災直後から学生と各地の調査を続けている。被災地の霊的な現象にも着目し、昨年の『霊性の震災学』は硬い内容にもかかわらず1万8000部刊行された。被災地では、不思議な現象がよく見聞きされ、うわさ話やネットなどを通じて広がっているという。金菱ゼミの学生は実際に、県内のタクシー運転手に聞き取り調査を行った。
コートを着た女性を乗せたら、「私は死んだのですか」と言われた。夏に真冬の恰好をした一人ぼっちの女の子を乗せた――など、様々な証言が出た。「誰かに話してうそだと言われると、悪気のない彼ら(霊魂)を傷つけるかもしれない」と秘密にする例もあった。
赤間さんも先輩の調査を引き継ぎ、地域による目撃談の頻度の差などを研究している。「高校のとき『あそこ出るらしいよ』とうわさ話をされ、嫌な気がした。でも聞き取りを続けるうち、霊にも思いがあるはずだし、否定的に捉えたくないと感じ始めた」と話す。
金菱教授は、「多くの人が突然亡くなった出来事は、簡単に心の中で整理できない。命を失った人が『この世』から『あの世』へ行ったと思うより、霊的な存在を感じ、未整理にした方が良いこともある」と語る。「社会学は避難所の住民など一定の集団からデータを取り、調査するのは得意。でも、心の問題など押さえきれていない分野がある」
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突然に絶たれた多くの命や無念の思いをいかに受け止め、未来につないでゆくか。東日本大震災から6年を迎え、人々の心をめぐる問題が重く、迫ってきている。
金菱清〔ゼミナール)編
東北学院大学震災の記録プロジェクト
四六判並製200頁
定価:本体2200円+税
発売日 16.1.20
ISBN 978-4-7885-1457-7
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