書評 キャサリン・モンゴメリー『ドクターズ・ストーリーズ』@図書新聞 2016年12月3日付
キャサリン・モンゴメリー 著 斎藤清二・岸本寛史 監訳『ドクターズ・ストーリーズ― 医学の知の物語的構造』の書評が、図書新聞 2016年12月3日付に掲載されました。評者は、星野晋氏。書評くださいました先生、掲載誌ご担当者さまにこころからお礼申し上げます。ありがとうございました。
キャサリン・モンゴメリー 著
斎藤清二・岸本寛史 監訳
ドクターズ・ストーリーズ
― 医学の知の物語的構造
四六判384頁上製
定価:本体4200円+税
発売日 16.6.10
ISBN 978-4-7885-1483-6
「医学の実践とは、解釈的活動(interpretive activity)である」という挑戦的一文からはじまる本書は、「文学と医学」を専門とし、医学校において教育、研究を行ってきたキャサリン・モンゴメリーが1991年に上梓した著作の訳本である。著者は、医師が診断を導き出し治療を組み立てていく臨床過程を、エスノグラフィ(民族誌)の手法を用いて丹念に描出する。そして科学としての医学という通常のイメージとは異なる物語的な実践をそこに見出す。すなわち、医学は科学ではなく、「病む人をケアするための、合理的で、科学を利用する、間レベル的な、解釈的な活動:なのである。
厳密科学としての医学は集団に対する統計的・確率論的なアプローチで一般法則化をめざす。この治療法には10パーセントの副作用が認められるといった具合である。しかし厳密科学は、目の前の患者がその10パーセントに入るか否かは教えてくれない。個別の患者に対して、診断を下し最適な治療法を探り当てるためには、「個別性の科学」といってもいい推論のプロセスが求められる。その過程を著者はシャーロック・ホームズの一連の推理になぞらえながら解き明かしていく・・・・・・ blockquote>
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