書評 田中研之輔 著『都市に刻む軌跡』
田中研之輔 著都市に刻む軌跡
の書評が5月21-22日、高知新聞、北國新聞、秋田魁新聞、岩手日報ほか共同通信配信にて掲載されました。評者は佐藤俊樹氏。ありがとうございました。
・・・・・・東京の新宿と茨城県の土浦で活動する、スケートボーダーの男女を対象とした、17年にもおよぶ参与観察をもとに、現代日本の若者たちの一つの姿が描かれている。
スケートボードを駆使して、華麗な跳躍技をきめる。駅の広場や繁華街の路地裏で、見かけた人もいるだろう。学校スポーツとは無縁で、けがの危険も高く、広場の手すりや階段などを利用するため、「逸脱者」ともされやすい。だからこそ、スケートボーダーーは独自の文化と生き方を育んできた。典型的な、都市の下位文化集団だ・・・・・
スケートボードが肉体に刻む苦痛と快楽。家庭や学校での生活や不安定な職場、厳しい労働。著者はその二つをつねにともに描く。それが文化論にも階層論にも回収されない独特の魅力を放ち、社会学の教科書で習う、かたい専門用語まで息を吹き返す様子は、読んでいてとても楽しかった・・・・・・
田中研之輔 著
都市に刻む軌跡
―スケートボーダーのエスノグラフィー
四六判上製274頁
定価:本体3200円+税
発売日 16.3.25
ISBN 978-4-7885-1469-0
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