書評@讀賣新聞 板倉史明 著 『映画と移民』 2016/5/1
板倉史明 著 映画と移民 の書評が
讀賣新聞の書評に掲載されました。
評者は村田晁嗣氏。評者の先生、掲載紙ご担当者さまにはこころよりお礼申し上げます。
学際的、越境的とはこのことであろう。本書はエスニック研究と日本学、映画学を融合させる試みである。1910年代から日米開戦まで、日本からの移民たちはアメリカで日本の映画とどのように向き合ったのか――これは国民国家の枠組みに固執しては見えてこないテーマである。初期の映画は移民たちをアメリカに同化させる機能を果たしたと、長らく語られてきた。しかし、移民たちは一方でアメリカへの同化を図り、他方で祖国から輸入された映画を通じて別のアイデンティティを培ったという。ナショナル・アイデンティティとエスニック・アイデンティティの葛藤である。これは日本人にかぎらず、イタリア人やユダヤ人にも該当する・・・・・・
・・・・・・テーマがやや多岐にわたるが、写真も豊富に掲載されており、当時の日系移民社会の様子が伝わってくる。映画を通じて移民をみつめる、著者の冷静かつ情熱的な複眼の産物である。
映画と移民
―在米日系移民の映画受容とアイデンティティ
A5判上製274頁
定価:本体3500円+税
発売日 16.3.31
ISBN 978-4-7885-1472-0
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