新刊 板倉史明『映画と移民』
板倉史明 著
映画と移民
―在米日系移民の映画受容とアイデンティティ
A5判上製274頁
定価:本体3500円+税
発売日 16.3.31
ISBN 978-4-7885-1472-0
見本出来ました。
4月8日ごろ書店に並びます。
この間、映画の『座頭市』を見たんですよ。おもしろいなと思って、味をしめちゃってね。とても歯切れがよくって、すばらしいんで、また見にいったんです。ワクワクする気持ちでいったところが、景色が目に来ちゃうんです。日本の景色、川だとか山だとかがきれいでね。
戦前はフランスで、そして戦後はアメリカで活躍した洋画家の岡田謙三(一九〇二―一九八二)は、一九六六年の対談において、外国で見た日本映画の感想をこ のように述べた。一九六二年から大映でシリーズ化された勝新太郎主演の「座頭市」シリーズは、国外でも人気の高いアクション時代劇であった。多くの観客が 座頭市をはじめとする登場人物の表情や演技に注目して物語を消費するなかで、海外生活の長い岡田謙三は、登場人物よりも画面の背景に映り込んでいる日本の 風景に意識が向いてしまう。
稀に観る日本映画に日の丸を振る場面ありて心をどるも
この短歌は、戦前にアメリカへ渡った日本人移民である泊良彦(一八八七生まれ)が戦後に詠ったものである。彼の心を動かしたのは、映画館のスクリーンに映 しだされた日の丸の小旗の映像であった。戦前からアメリカで生活を送ってきたこの歌人は、日本で生活する多くの日本人観客ならば特に意識することなく見過 ごしてしまうであろう日の丸の映像に反応してしまう。・・・・・・
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