新刊 亀山佳明『記憶とリアルのゆくえ』
亀山佳明 編
記憶とリアルのゆくえ
―文学社会学の試み
四六判上製272頁
定価:本体2600円+税
発売日 16.3.3
ISBN 978-4-7885-1465-2
見本出来ました。
3月7日ごろ書店に並びます。
当たり前のことであるが、文学作品を創作したり、それらを鑑賞したりするという文学的な営為は社会という場においてなされる。その一方で、文学作品それ 自体の内には様々な人々の行動や関係あるいは感情─たとえば、他者との協調や対立、風景をめでる行動やその情緒─が描かれる。このように、文学と社会とは 多様な関わり合いをもっているために、互いに他方の影響を大きく受けずにはいない。ここで、われわれが「文学社会学」と呼んでいるのは、このような文学と 社会との相互の関係のあり方を考察する学問領域のことを指してのことである。
わが国で早い時期にこの領域に注目した人物として、夏目漱石を思い浮かべることができる。今から百年以上も前に、漱石は留学先のロンドンでこの問題に直 面せざるを得なかった。当時、英文学の研究をめざしていた彼は、英国人の著した研究書を読み漁っていた。ある時、そうした試みは、他人がうまいと勧める酒 を、自ら納得することもなく、他人にも勧める行為、つまり虚偽的な行為、であることに気づく。また、文学をもって文学を研究することは「血で血を洗う」無 謀な行為であると思うにいたる。そこで、彼は研究の方向を大きく転換する。文学はその社会に必然があって生まれるのであるから、社会の影響をまぬがれな い。何故に文学がその社会に生まれたのか、・・・・・・
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