新刊 丸山久美子『林知己夫の生涯』
丸山久美子 著
四六判上製260頁
定価:本体3200円+税
発売日 15.9.8
ISBN 978-4-7885-1446-1
見本出来ました。9月8日ごろ書店に並びます。
林知己夫の生きた時代(一九一八―二〇〇二)は、若者が戦争に駆り出され、国破れて途方に暮れる暇もなく、大半の国民は生きるために額に汗して働き、経 済大国にのし上がった時代である。現在では、大半の人たちがこの時代の労苦を忘れている。だが、この時代を生きた人たちの多くは、日本という国のありよう を大切に思い、みずからのうちに培われている底力の総力を発揮して、国家の危機を救ったという自負心を持った人たちである。
戦後の研究者は、多かれ少なかれ、決して人まねで物事を考えない、あるいは物を作らない、二番煎じを恥とし、常に独創的な考えや発想を重視し、他者に理 解されようとされまいと、それを前面に押し出し、他者からの反論に対しても妥協することなく、信じてそれを守り抜くという、頑なまでの心情に徹していた。 なかでも林知己夫は、研究に対して徹底的に人の真似をすることを嫌った。他の研究者の研究論文を読むことさえ禁じたほどである。とはいっても、次々と新し い独創的な考えが湧いてくるものではない。林は一度考えついた理念や概念を大事にして、のどがカラカラに乾き、鉛筆を持つ手がしびれるまでして、多くの人 たちに知ってもらおうと努めた。さまざまな視点から論文や本を書きつらねる。その間の努力には敬服に値するものがある。・・・・・・
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