新刊 香川秀太・青山征彦『越境する対話と学び』
香川秀太・青山征彦 編
A5判並製400頁
定価:本体3600円+税
発売日 15.5.15
ISBN 978-4-7885-1426-3
見本出来ました。
5月18日ごろ書店に並びます。
1.文脈間,コミュニティ間のギャップ
以下は,いずれも実話に基づく事例である。
【事例1】
とあるセミナーの最後に,講師が次のように話し,その場を締めた。
「ここでの内容を職場でぜひご活用ください。」
「何か持ち帰っていただけますと幸いです。」
だが,実際は,セミナーが終わると多くの人が実践に移すことはなく,セミナーがあったことさえ,次第に忘れていった。
【事例2】
新入社員たちの仕事ぶりに対して,先輩や上司が口をそろえて次のように言う。
「最近の新人は危機感や忍耐力がない。」
「指示待ちで困る。言われたことしかやらない。」
他方,新入社員は思う。
「放任状態で何をやっていいのかわからない。」
「以前,自分で工夫してやってみたが,やり方が違う,勝手なことやるなと怒られた。それ以来,下手に自分から動くのはやめた。」
【事例3】
ある企業で幹部が決めた新しい方針が下りてきた。そして現場の人たちは次のように思った。
「また,現場の実情にそぐわない方針がきた。でも下手に意見して目立つのはよそう。どうせ意見してもほとんど採用されないし。」
「結局,何か問題が起きて泥をかぶるのは現場。」
「まあ,上の言うことを聞いときゃいいか。」
他方,幹部は,反発する現場の人間に対してこう思う。
「現場は変化を嫌っているだけ。変革が必要だ。」
「下は自分たちのせまい目線や都合で文句ばかり言っている。全体も見えていない。」
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