新刊 ピーター・バーガー『退屈させずに世界を説明する方法』
四六判上製368頁
定価:本体3800円+税
発売日 15.5.15
ISBN 978-4-7885-1432-4
見本出来ました。
5月25日ごろ書店に並びます。
二〇〇九年の夏、ブダペストの中央ヨーロッパ大学で講演をするよう招聘を受けた。何について講演してほしいのかと尋ねると、それはまったく私次第との こと。私はそういうのが嫌いである。宣教師じゃあるまいし、ブダペストで説教すべきことなど何もないのだ。すると、「自己史」 (ego?histoire)とよんでいる便利な形式があるといってきた。自伝という意味だろうか? いやいや、彼らが言いたいのは講師の知的履歴――論 じてきた問題、道々出会った人や出来事――に関する記述ということであった。それなら面白いかもしれない、と私は思った。講演した私が面白いと感じただけ でなく、それを聞いた聴衆も明らかに面白そうだった。帰国して私は一冊の本にとりかかった。それがこの本である。
おなじ年の夏、ブダペスト旅行の直前、私はウィーンにいて、友人の娘と話をしていた。彼女は大学で社会学の勉強を始めたばかりなのだが、幻滅してしまっ たという。彼女は私の旧著『社会学への招待』を読んだことがあり、わくわくするような知的経験を期待していた。ところが逆に、すっかり退屈してしまったと のこと。最近ウィーン大学でどんな社会学が教えられているのか知らない(故郷の町に帰ると、私にはオーストリア社会学の現状を検査すること以上に面白いこ とがいろいろあるのだ)。だが、もし当地のカリキュラムがヨーロッパの他の地域やアメリカで広く教えられているのと似たりよったりだとしたら、はなはだ聡 明な乙女が退屈しても驚くべきことではない、と私は思う。 社会学をネタにしたジョークはごくわずかしかないが、その一つがここでピッタリだ。ほぼ間違いなく余命はわずか一年と医師に告げられた患者。このおそろ しい宣告を受け容れたあと、どうすればいいかと医師に訊くと
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