書評 2015年1月23日週刊読書人掲載、青山陽子著『病いの共同体』
青山陽子 著 病いの共同体
の書評が、2015年1月23日付、「週刊読書人」書評に掲載されました。評者は武田徹氏。評者の先生、掲載紙ご担当者様にはこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。
・・・・・・ハンセン病が強い偏見の中にあり、迷惑を及ぼさないために家族と縁を切って入所する習慣があったために他に頼るものが一切なかった事情ももちろんあるが、微かな地縁にすがるようにして見ず知らずの者同士の付き合いが始まり、困った時に相互に助け合う間柄になってゆく。また療養所では恒常的な職員不足から軽症者に所内作業をさせていたが、そこもまた相互に役割を与え合う関係形成の場となった・・・・・・
私事で恐縮だが以前に刊行した拙著『隔離という病』で、水平的な人間関係を基本とする「都市的共同体」と、垂直的な権力関係で人々を束ねる「国家的共同体」の二極を理念型として共同体を議論し、ハンセン病療養所こそ都市的共同体の典型と書いたことがあった。それは必ずしも十分な調査時間を掛けられなかったジャーナリズムの急ぎ足の仕事だったが、筆者が拙速に下した結論を著者は丁寧な調査で裏付けてくれたと感じた。
そしてコミュニティの存在確認に止まらない。著者はアルヴァックスの集団的記憶論を用いて更に分析を進めてゆく。他者と共通するイメージや観念を出発点とし、互いの相互作業を通じて、再認と同時に再構成されてゆく集団的記憶を支えた一つとして著者が注目するのがハンセン病資料館だ・・・・・・
A5判上製320頁
定価:本体3600円+税
発売日 14.11.13
ISBN 978-4-7885-1412-6
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