新刊 渡辺 靖『現代アメリカ』
渡辺 靖 編/庄司 香・柳生智子・和泉真澄・舌津智之・倉科一希 著
四六判276頁並製
定価:本体2400円+税
発売日 14.10.10
ISBN 978-4-7885-1403-4
見本出来ました。10月9日配本です。
10月14日ごろ書店に並びます。
中央政府は必要か
アメリカ合衆国はしばしば「実験国家」と称される。
一体どういう意味だろうか。
この問いに答えるには建国期まで遡らなければならない。
アメリカ独立戦争(一七七五―一七八三年)によってイギリスの支配から自由になった一三の植民地は大きな決断を迫られた。すなわち各植民地(州)が自己 統治を行なうか、それとも合衆国の中央政府に統治を委ねるかである。前者の場合、通商や軍事の面でイギリスやフランスなどヨーロッパ列強との交渉は著しく 不利になる。かたや後者の場合、中央政府がいつの間にか強大化し、イギリスの専制君主のように自分たちを弾圧・搾取し始めるかも知れない。それでは一体何 のために独立したのか分からない。独立宣言作成や合衆国憲法作成に深く関与した「建国の父」たちが導き出した解決策は、中央政府を作ることで国家としての スケール・メリットを活かしつつも、その権力を厳しく制限することだった。
権力の腐敗や暴走を防ぐためのポイントは主として三点あった。
一点目は、中央政府を三つの府、すなわち行政府(大統領)、立法府(議会)、司法府(最高裁判所)に分け、相互のチェック機能を設けることである。いわ ゆる三権分立の考え方だ。例えば、日本では「アメリカ大統領」と聞くと「超大国のトップ」として絶大な権力を想像しがちだが、合衆国憲法を読むと、実際は 議会や裁判所にかなり手足を縛られていることが分かる。
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