書評 馬場公彦 著『現代日本人の中国像』
馬場公彦 著
A5判上製402頁
定価:本体4200円+税
発売日 14.5.9
ISBN 978-4-7885-1386-0
の書評が『週刊ダイヤモンド』連載書評に掲載されます。評者は佐藤優氏。
日本人の中国観について描いた優れた研究書だ。時代は、1970年代初頭の日中国交正常化から1992年の天皇訪中までに限定されているが、現在、日中外交の懸案となっている問題が網羅的に含まれている。中国のみならず、モンゴル、台湾にも考察の対象が及んでいる点も本書の特徴だ。
モンゴルの対中国恐怖感には、日本が伝統的に中国に対して負っていた中華文明に対する恩恵の裏側に貼りついた対中国脅威意識と通じ合う感情的一体感があることを指摘しておきたい。「満州国」前後の時代に、一部の現地の日本人が「汎モンゴリズム」の夢にうなされ、モンゴル・ナショナリズムや南北モンゴル統一国家といった運動を煽ったことで、今なお一部の日本人にはそのような運動に対する希望的幻想を抱きがちである(259頁)、という指摘が興味深い。安倍政権は、モンゴルを通じて対北朝鮮外交の突破口を開こうとしているが、これも対中国脅威論につながる動きだ。
ご書評くださいました先生、掲載誌ご担当者さまにはこころよりお礼申し上げます、。ありがとうございました
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