新刊 ヒュー・カニンガム『概説子ども観の社会史』
ヒュー・カニンガム 著/北本正章 訳
四六判上製432・定価5000円+税
発売日 13.11.3
ISBN 978-4-7885-1361-7
見本出来ました。11月1日配本です。
11月6日ごろ書店に並びます。
第二版への序文
本書の初版〔一九九五年〕以降、西洋世界ですでに高まっていた子ども期についての懸念は、この一〇年でさらに高まりました。貧困状態の子ども、家庭や施設 での子どもの虐待、新しい情報メディアの悪影響、さらには(もはや安全ではなくなった)家庭と学校の外で子どもが遭遇する危険な出来事など、懸念は多岐に 及びます。こうした懸念に対して、各国政府はいくつか対処しようとしています。たとえばイギリスでは、歴史上初めて「子ども省」(Ministry for Children)を設けました。さらに広範なものとして、一九八九年に国連で開催された「子どもの権利に関する代表者会議」の推進を反映して、子どもは 多くを語らないが、彼らが語るべき事柄は大人が語るよりも重要かもしれないという認識も広まっています。
歴史家の研究課題は、多くの点でこうした懸念や革新を反映します。歴史研究の目的は、現代の関心事と発展に歴史的な文脈を与えることにあるからです。貧困 統計において、いつも子どもは大きな位置を占めていたのか?子どもへの性的虐待は目新しい現象なのか、それともこれまでいつもおこなわれていたのか?大人たちは、初期のメディア革新が子どもに及ぼす悪影響に、どのような公的対策を講じたのか?子どもの権利という観念は、歴史のなかでどのように発展し てきたのか?わたしは、この第二版を準備するなかで、新たに書き加えるべきこうした論点を明らかにしようとしました。その大部分は、子どもとその家族の 親密圏と、国家やボランタリー組織の公共圏の境界における子どもとその家族に関係しています。
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カニンガムの子ども期に関する歴史的考察ならびにこれを土台とした子どもの権利宣言・条約に対する歴史的コメントないし評価はさまざまな議論を想起させる重要な著作である。が訳者はなぜ子どもの権利条約を子どもの権利に関する代表者会議と翻訳したのだろうか。
投稿: 塚本智宏 | 2014年1月12日 (日) 09時30分