新刊 江森一郎『体罰の社会史 新装版』
江森一郎 著
四六判288頁・定価2520円
発売日 13.5.1
ISBN 978-4-7885-1335-8
見本出来ました。5月1日配本です。
5月7日ごろ書店に並びます。
はしがき
最近の総理府による「人権擁護に関する世論調査」(一九八八年十二月三日)で、教師による学校での体罰について、人権侵害にならないとする人が三割 以上もおり、「法務省と文部省は体罰を容認する人が予想以上に多いことに驚いて」いる、と報じられた(朝日新聞、同四日付け)。他方、八七年度中に体罰が らみで処分を受けた教師は三一一人に達し、件数で二○二件もあり、前年度比一七パーセントの伸び率であるという。体罰禁止を明言している学校教育法第十一 条の空洞化は、いよいよ進みつつある。こういう時期に本書を出版することが、意義あることであってほしい。
そもそも、「体罰史」という観点から日本の歴史を大観してみたら面白い結果が出てくるのではなかろうか、と思いついたのは、悪名高い「戸塚ヨットスクー ルとの体罰死事件が、連日新聞紙上を賑わせていた一九八三年の春のことだった。戸塚氏は、その年の秋に獄中から出版した著書『私はこの子たちを救いたい』 (光文社)の中で「日本の歴史が二千年あるとしても、体罰を否定しているのは、最近の三十年間だけで、あとの千九百七十年間は、肯定されているのである」 (同書、二三ページ)と言っていたが、私の結論は正反対に近い。ともあれ、月日の経つのは早いもので、それから五年以上が経過してしまった。この書は、一 九八三年の秋に教育史学会で報告した内容を、翌八四年に「江戸時代の体罰観・研究序説」(『日本の教育史学』二七巻)として発表したものをもとにしてい る。しかし、それ以降調べえたことも多く、構想を新たに書き下したものである。(ただし、第二部の二章の前半は、小林登ほか編『新しい子ども学 3 子どもとは』〔海鳴社、一九八六年〕に寄稿したものの一部に、加筆・修正を行ったものである。)
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