新刊 外山紀子・中島伸子『乳幼児は世界をどう理解しているか』
外山紀子・中島伸子 著
四六判並製264頁・定価2520円
発売日 13.3.20
ISBN 978-4-7885-1337-2
見本出来ました。3月21日配本です。3月25日ごろ書店に並びます。
あとがき
実験という窓から、私たちは乳幼児の心の何を見ることができるのでしょう。実験は観察法など他の研究法と比べ、どのような特徴をもっているのでしょう。これらの問いを意識しながら、本書では乳幼児期の認知発達をとりあげました。
心理学でも近年は、脳科学(神経科学)が大きな注目を集めています。アメリカでは、脳科学の手法を用いないと、研究費を獲得しにくい状況になっていると も聞きます。そのうち心理学者の仕事はなくなってしまうのではないかと思えるほどの勢いです。脳科学では、何かの刺激を受けている時、あるいは何かの課題 に取り組んでいる時の脳活動を計測し、心理的機能の脳内基盤を明らかにしていきます。最近では乳幼児にも使える装置の開発が進み、たとえば誤信念課題(4 章)に取り組んでいる時、バイオロジカルモーション(2章)をみている時などの乳幼児の脳活動が、少しずつわかってきました。実験では「選ぶ」とか「触 る」とか、何らかの行動を乳幼児に求めますが、行動に表出されなくても脳内では何らかの反応が生じているという事態は十分に考えられます。脳科学の手法を 用いれば、こうした現象をとらえることができるわけです。その意味で、脳科学は今後ますます認知発達研究において大きな位置を占めていくでしょう。
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