新刊 井山弘幸『パラドックスの科学論』
井山弘幸 著
四六判上製312頁・定価2940円
発売日 13.3.15
ISBN 978-4-7885-1327-3
見本出来ました。3月13日配本です。3月15日ごろ書店に並びます。
はじめに
「パラドックスの科学論」と聞くと読者は何を想像するだろうか。どんな内容を期待するだろうか。「科学の世界はパラドックスだらけだ」と言ってる ように思う人もいるだろうし、「パラドックスについて科学的に議論してみよう」とたいそうな抱負を述べていると感じる者もいるだろう。これから書こうとし ている時点で確たることは言えないが、ニュアンスの違いはあるにせよ、最終的にはこの二つのどちらの要素も含むものとなるだろう。科学の成り立ちや進歩、 時代を画する魅力的な発想の転換、科学の歴史には随所にパラドックスが登場するし、科学らしさや科学知識の正統性をつきつめてゆくと肝心なところでパラ ドックスと遭遇する。そして、われわれが出会うさまざまなパラドックスは、漫画の世界では瓶底のように丸く描かれる科学者の眼鏡を通して眺めたり、あるい は、論理的な一貫性という足かせを外してみると、従来とは異なる相貌を見せてくれる。
本書は、科学の過去と現在そしてあわよくば未来についてパラドックスという観点から眺めてみると同時に、名だたるパラドックスについては、従来とは一風 変わったかたちで、すなわち科学者ならばもって当然の好奇心や細部へのこまやかな執着をもって論じよう、という魂胆で書かれている。まあ、それでは漠とし て分かりにくいだろうけれど、読み進めるうちに次第に輪郭が浮かんでくることだろう。
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