叢書 戦争が生みだす社会(全3巻)刊行!
【本叢書のねらい】
戦争は社会を破壊するだけではなく、復興と再生を伴う。日本はどのように戦
後社会を構築したのか、太平洋戦争の所産と負の遺産とは何か? 人口、社会、
地理、民俗、文化・メディアの多領域から、人間社会につきまとう戦争にどう
向き合うのか、あらたな光をあてる。関西学院大学先端社会研究所の共同研究。
【特徴】
国内各地をはじめアジア太平洋、樺太までフィールドを広げ、戦時期から戦後
を中心として、独自の問題群と現在に至る影響の現地調査を行った。貴重なド
キュメントと証言、図版、写真、資料を満載。
【おもな内容】
Ⅰ巻 戦後社会の変動と記憶
本叢書全体の意義を示し、「空間」「移動」「他者」を分析概念として、太平洋戦争のもたらした社会変動(領土と空間の変容、旧軍用地の利用と都市形成)、境界と他者の記憶(戦争アニメ、戦争被害の語りと保存)に関する論考を収める。
Ⅱ巻 引揚者の戦後
「移動」のなかでも敗戦を契機に旧植民地域・戦地から一斉に移動した引揚者に注目し、引揚者が戦後の都市や農村の形成にいかに深く関わったか、また新たな文化をもたらしたのかを探究する。
Ⅲ巻 米軍基地文化
戦後、米軍の進駐・占領・駐留は、音楽、文芸などに大きな文化変容をもたらした。沖縄、横須賀をはじめとする米軍基地の存在は地域社会に影響を与え続けている。また、日本と同様、米軍が駐留してきたアジア諸国との文化交流を探る。
2月下旬発売
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Ⅰ巻 戦後社会の変動と記憶
──移動・空間・他者
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荻野昌弘 編
四六判上製320頁・定価3780円(税込)
ISBN 978-4-7885-1323-5 C1036
分野=太平洋戦争・日本史(戦後)・社会問題
人口の大移動:戦中戦後の大量の人口移動、領土縮小と再編成を統計データか
ら俯瞰します。
敗戦国の再生:広大な旧軍用地がどのように産業転用されたかを群馬県と三重
県を事例に実証。
アニメのルーツ:日本のアニメの起源を戦時期の戦争アニメーション制作過程
に探ります。
戦争の被害と記憶:重い口を開いた戦争被害者たちの語りに耳を澄ませ、中国
での激烈な戦闘に思いを馳せます。アメリカに渡った被爆者の証言、フィリピ
ンの村の写真展(日本軍による虐殺とレイプの記憶)、雲南戦争遺跡観光と反
日感情・愛国主義から、戦争へのまなざしと他者概念の重要性を提起します。
中国、韓国との関係が険悪ないまこそ、かつての敵味方同士がともに戦争を知
る必要があります。
4月下旬発売予定 6月下旬発売予定
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Ⅱ巻 引揚者の戦後
──叢書 戦争が生みだす社会 II巻 [関西学院大学先端社会研究所]
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島村恭則 編
四六判上製344頁・予価3045円(税抜)
ISBN 978-4-7885-1333-4 C1036
分野=民俗学・戦後史・ノンフィクション
◆戦争に翻弄された人々が生みだした文化
敗戦を境に身一つで海外から帰還した引揚者たちの戦後の暮らしとは。全国に
は引揚者に起源をもつ商業施設、公営住宅、福祉団体が数多く存在し、餃子、
ラーメン、明太子などすっかり馴染み深いメニューも引揚者が伝えた食文化で
す。ベスト電器、ゼンリンなど有名企業の創業をはじめ、引揚げ当事者たちの
語るエピソードは枚挙に暇がありません。満州朝鮮からの引揚げ家族、樺太引
揚者とサハリン残留朝鮮人、パラオ引揚者などを訪ねて、国内外で聞き取りを
重ねた民俗学者たちの調査が本書に実を結びました。圧巻はパラオで歌い継が
れ小笠原まで伝播した古謡の謎を解く南洋の旅。戦争と帰還移民という人類学
理論にも挑戦します。知られざる引揚者たちの苦難に満ちた人生の軌跡、故郷
への断ちがたい想い、戦争に翻弄されながらたくましく生き抜いた人々の文化
に圧倒される読み物です。
続刊
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Ⅲ巻 米軍基地文化
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難波功士編
詳細内容はおって掲載いたします
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