新刊 田中洋美・M.ゴツィック・K.岩田ワイケナント 『ライフコース選択のゆくえ』
田中洋美・M.ゴツィック・K.岩田ワイケナント 編
四六判上製384頁・定価4410円
発売日 13.2.15
ISBN 978-4-7885-1324-2
見本出来ました。2月20日配本です。2月22日ごろ書店に並びます。
編者まえがき
新しい世紀に入ってから早いもので一〇年が経った。振り返ってみれば、第二次世界大戦後から半世紀もの間、日本社会はいくつもの社会変動を経験してきた。戦後復興、それに続く高度経済成長、八〇年代のバブル景気、その終焉と長引く不況。景気回復の徴候が全くなかったわけではないが、雇用や経済、政治といった領域で見られる新自由主義的な流れにあって、経済的・社会的格差や幸福についての議論が活発化している。そんな社会に実際に暮らす人々の生き方はどのように変わりつつあるのだろうか。あるいはどのように変わることを余儀なくされているのか、または変わらないまま続いていくのだろうか。 本書は、ライフコースを通して後期近代における個人の生き方の変容を俯瞰的に捉え、こうした問いに応えようとしたものである。 今日、ライフコース(life course)という語は、学術書から一般書、政府文書からメディア記事に至るまで、幅広く用いられている。学術的なライフコース研究ないしライフコース論でしばしば引用されるエルダーの定義によれば、ライフコースとは「年齢ごとに異なる役割と出来事(ライフイベント)を通して個人がたどる道筋」(Elder 1977, 森岡 1987:2)である。 本書では、欧米で生まれ、日本でも紹介され、研究されてきた社会科学的なライフコース研究を踏まえつつ、家族社会学の一領域というイメージの強かったライフコース研究の射程を広げることを試みている。具体的には、これまでバラバラに論じられることの多かった①仕事(職業キャリア)、②家族(家族キャリア)、③住まい(居住キャリア)の三つに焦点を当て、これら三つに関わる論考を収めている。これらの人生領域はキャリア(career)ないし道筋(pathway)とも呼ばれている。日本ではこれまで、働き方は労働社会学、仕事の社会学、家族は家族社会学、住まいは住宅・居住研究といったように、それぞれの領域で個別に論じる傾向が見られた。本書ではあえて諸領域を併せて取り上げ、包括的に近年のライフコース変化について捉えることができるよう心がけた。
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