« ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第126号■ | トップページ | 著者インタビュー 相沢直樹 著 『甦る「ゴンドラの唄」』 »

新刊 久米博『テクスト世界の解釈学』

9784788513228


久米博 著

テクスト世界の解釈学

A5判上製360頁・定価4725円
発売日 12.12.20

ISBN 978-4-7885-1322-8

見本出来ました。12月25日配本です。12月28日ごろ書店に並びます。

 序言

本書の意図するところはささやかである。「テクスト世界の解釈学」という表題のもとに、ポール・リクールの哲学の根幹をなすテクスト解釈学を簡明に解き明かすこと、そしてそれにいたるまでの理論構築を具さに跡づけることである。リクールの広い領域にわたる哲学的研究のなかで、私がテクスト解釈学に焦点をしぼったのは、そこに彼の開拓した独自の領域があると確信するからである。すなわちアリストテレスの『詩学』を土台に、テクスト世界の構築とその読解行為を解明すること。それを通して彼がめざすのは、テクストから行動への展開である。

 リクールは五年間ドイツ軍の捕虜収容所で生活を送り、一九四五年に復員してから本格的に著作活動を開始した。二〇〇五年に九二歳の生涯を閉じるまでに、ファンシナ神父による詳細な書誌によると、著書三八冊、フランス語論文七六八編を発表した。それは一貫した哲学的探求の歩みであった。哲学者リクールを評するには、いわゆるmaitre penseur(独創的思想家)というよりも、maitre a penser(思索の師)とするのがふさわしい。それはphilosophiaの原義に遡り、「ソクラテス的探求」の哲学者という意味である。ソクラテスは「事実の中の探求」から、「言葉の中の探求」に転じ、「それは何か」を問い、人々との問答を通して、その本質を定義した。リクール哲学において重要なのは、彼がさまざまな分野の人たちと対話しつつ、「人間とは何か」を探求し続けたことである。最後の大著『記憶・歴史・忘却』の結びの言葉は「未完」であった。彼の探求に終わりはなかった。

 

    ・・・・・・

《もっと読む テクスト世界の解釈学 序言》

« ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第126号■ | トップページ | 著者インタビュー 相沢直樹 著 『甦る「ゴンドラの唄」』 »

新刊」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新刊 久米博『テクスト世界の解釈学』:

« ◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第126号■ | トップページ | 著者インタビュー 相沢直樹 著 『甦る「ゴンドラの唄」』 »

検索


  • カスタム検索
2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

ツイッター

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

タイトルのみ表示


サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想