書評 杉本章吾著 『岡崎京子論』
杉本章吾 著
岡崎京子論――少女マンガ・都市・メディア
の書評が12月23日/2012年 日本経済新聞に掲載されました。
・・・・・・これまでの研究は、岡崎京子の登場の衝撃や作品の鮮烈さゆえ、どうしても記憶に引っ張られがちだった。著者のような世代が、どう分析していくか。83年生まれの評者には、特に興味深い試みであった。・・・・・・
メディアが造成したイメージ・記号に日常が溢れていく状況、そして、そこに生きる少女・女性達を、アイロニカルに、だけど決して批判的ではなく、相対的な眼差しで岡崎は描いていた。著者の読み解きは、作品にあらたな見方を与えてくれた。
また、本書の目的は、それだけにとどまらない。80年代以降、少女マンガは、多様な方向に細分化したが、岡崎は、サブカル誌、青年誌など、ジャンルを問わず作品を発表した女性マンガ家の先駆けである。そんな彼女を「少女マンガの臨界」の作家に位置づけて論じたことは、今もなお十分に手がつけられていない80年代以降の少女マンガ研究に先鞭をつけた。その意味でもたいへんな成果だ。
評者は倉持佳代子氏。 評者の先生、掲載紙ご担当者さまに心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。
四六判上製384頁・定価3570円
発売日 12.10.24
978-4-7885-1306-8
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