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新刊 神子島 健『戦場へ征く、戦場から還る』

9784788513006

神子島 健 著
戦場へ征く、戦場から還る

A5判560頁・定価5460円
発売日 12.08.15
ISBN 978-4-7885-1300-6

見本出来ました。8月6日配本です。8月8日ごろ書店に並びます。

  序章 本書の問いとその背景  

 「うちの新聞はこの戦争を「侵攻」と書いた。反戦デモは世界中で起きている。どう思うか」〔中略〕

 「この戦争にいろいろ批判があるのは知っている。だがおれたちは兵隊だ。飯を食って、銃を磨いて、敵を殺さないと家族に会えないんだ。やるべきことをやるのさ」  兵士にとって戦争というのは、殺すか殺されるかだけなんだ。お前の質問は意味がない。そういわれたような気がした。     

 ここで引用した新聞記事は、イラク戦争時の米軍部隊に同行(embed)取材をした、『朝日新聞』の野嶋剛記者の書いたものである。

 出口の見えない戦争において「やるべきことをやる」としても、果たして兵士は家族に会えるのか、その保証はどこにもない。だがここには自らの戦っている戦争 自体の意味は宙吊りにして、「兵隊」としての自己を受け容れ、淡々と与えられた役割をこなす人の言葉が見える。しかし一方で、彼はその役割を終え家族に会 うことを心の支えとすることで、「殺すか殺されるか」の場である戦地での自己を保っているのであろう。兵士としての自己ではなく、父親として、夫として、 息子としての、つまり家族とのつながりにおける自己が戦地での彼に入り込んでいる。むろん両者は一人の人間のなかで並存し得る。だがよき父やよき息子であ る自己が前面に出すぎると、「敵を殺」す自己との矛盾が顕在化しかねない。家族が兵士の心の支えであるとしても、彼はその矛盾を起こさない場合においてし か、家族のことを考えないようにするだろう。

 彼は従軍記者の質問をはねつけている。当の記者からすると、兵士の気持はお前にはわかるまいというコミュニケーションの不可能性を宣告されているように 思えたのだろう。だがこの返答は、自らが現場に放り込まれてしまっている戦争の意義に疑問を差し挾むことが、兵士としての自己を揺るがしかねないことを警 戒した、兵士の側からのコミュニケーションの拒否でもあるのだ。兵士としての自己と、兵士でない自己との葛藤。これは本書全体を貫く重要なテーマの一つで ある。

・・・・・・

《もっと読む 戦場へ征く、戦場から還る 序章》

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