新刊 小塩真司 著 性格を科学する心理学のはなし
小塩真司 著
性格を科学する心理学のはなし
――血液型性格判断に別れを告げよう
11.10.08
978-4-7885-1253-5
46判208頁・定価 本体2200円+税
の見本ができました。配本は10月12日です。書店さん店頭には2,3日後到着となります。
まえがきでも書いたように、現在、世界的にみると、パーソナリティ心理学は盛り上がりをみせています(もっとも、日本の心理学では、おそらく「まだまだこれから」というところだと思いますが……)。
以前のパーソナリティ心理学は、それぞれの研究者が独自の構成概念を掲げて興味のおもむくままに研究を行い、その後ほかの研究者はあまりそれらを省みることがないという、孤立した研究状況が続いていました。いや、すべてがそうであったわけではないのですが、そういう傾向は現在よりも強かったように思います。
それに対して近年は、性格特性がビッグファイブ(五因子理論)を中心にまとまりをみせ、さらにその遺伝的な背景や脳神経科学的なメカニズム、発達的変化や現実生活場面との関連などが研究されてきたことにより、研究が蓄積され、新たな展開が生じやすくなっていることに盛り上がりの原因があるように思います。
第五章で研究を紹介した、アメリカのパーソナリティ心理学者ロバーツが日本に来たときに、これからのパーソナリティ心理学の展開がどうなると思うかをたずねたことがあります。
彼は、これからますますパーソナリティ心理学は、他の領域とのコラボレーション(共同研究)が多くなっていくだろうと言いました。すでに海外では、脳神経科学や疫学など、いくつかの研究領域との共同研究がさかんに行われています。そして、「これからは経済学(行動経済学のことだと思います)とのコラボレーションがさかんに行われていくだろう」と彼は私に教えてくれました。さらに、経済学のようにお金が絡んでくる研究領域と、パーソナリティ心理学が結びついたとき、何か大きな展開が起きてくるだろう、とも。
人間の性格をとらえたいと思う気持ちは、二千年以上もの歴史をもちます。人間が歴史のなかで長い間探究してきた問題について、科学的な思考や統計的な分析手法などの新たな考え方が組み込まれたのは、つい最近のことです。はたして、今後どのような展開がこの研究領域で起きてくるかは予想もつきません。ぜひ、興味をもって見守っていただければと思います。私自身、わずかながらでもこの研究領域に貢献することができるべく、努力していきたいと考えています。・・・・・・
(あとがきより)
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