書評 福間良明 著 『焦土の記憶』
福間良明 著
『焦土の記憶』――沖縄・広島・長崎に映る戦後
11.7.15 978-4-7885-1243-6
46判536頁・定価5040円
の書評が、週刊読書人 2011年9月23日号 に掲載されました。
相も変わらず、マス・メディア報道における震災体験や放射能汚染を巡る論調は、私たちの〈現在〉を覆い隠さんとする企みに満ち溢れている。にも関わらず、政治的に回収しきれない現実の説得力は、私たちに、〈過去〉の戦争で刻印された痕跡を〈記憶〉として喚起させ、翻って、あるべき〈現在〉や〈未来〉を再考させんと駆り立ててくる。そして、本書もまた、〈過去〉を通じて、私たちに〈現在〉の可能性を〈開く〉よう働き掛けてくるのである・・・・・・
・・・・・・ベトナム戦争や核実験、公害問題を巡る議論の高揚、沖縄〈返還〉、在韓被爆者への対応など諸問題を背景に、〈本土〉や沖縄では、戦争体験が自らの〈被害〉的立場の問題とも絡めて論じられるようになったが、広島・長崎では「自らを問い直す論点」が看過されがちであったという。すなわち、〈本土〉や沖縄では、戦争責任を考えることが自らの責任を問い直す契機として働いたが、広島・長崎では、「自己への問い」よりも〈現在〉を巡る〈日本〉への批判が前景化していったのである。広島・長崎の〈語り〉は、被曝体験が直視得ないほどの〈記憶〉として潜在化したのみならず、後遺症や差別、被曝二世の問題という〈現在〉に規定された上で、〈未来〉に関わろうとする意志や願望を表していたのかもしれない。・・・・・・・
評者は小暮修三氏。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者の方に心よりお礼申し上げます。
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