新刊 大貫 徹 著 「外部」遭遇文学論
大貫 徹 著
「外部」遭遇文学論――ハーン、ロティ、猿
奥付 11.6.30
978-4-7885-1241-2
46判232頁・定価 本体2400円+ 税
の見本できました。配本日は7月6日。書店さん店頭には2,3日後とどきます。
もとより、全部が全部、しなやかな思考を働かせることで、二者対立を止揚すべきだと言いたいわけではない。本書は啓蒙書でもなければ道徳の教科書でもないのだから。しかし重要なことはまず対立を見出すことではないか。ドガの場合でいえば、ドガ作品のなかに「鼻筋の通った顔」と「猿のような顔」というような対立を見出すことではないか。そこからドガにおける奇異なる存在との遭遇体験という視点を得ることができるはずだ。そしてこの視点がさらに広がり、当時のフランス社会の階級上のせめぎ合いという、より大きな文脈へと展開することも可能となるだろう。あるいは同時代の他のジャンルのなかに同じ主題を見出すことも可能となるだろう。いずれにせよ、まずは対立ありきである。本書はこうした視点から、まずは対立する要素に注目して、第一部の異界体験、第二部の異国体験、第三部の奇異なる存在との遭遇体験を論じてきた。そしてこうした体験のなかにこれまでのモノグラフ的な作家論では見出せなかった視点を見出そうとしてきたことを踏まえ、あえて本書の標題を多少仰々しく「「外部」遭遇文学論」とした。それが成功したかどうかは読者の判断を待つばかりではあるが、しかし少なくともそのアプローチに関しては成功したのではないかと信じている。(あとがき より)
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