新刊 長谷川公一 著 『脱原子力社会の選択 増補版』
長谷川公一 著
『脱原子力社会の選択 増補版』――新エネルギー革命の時代
新刊の見本ができました。
11.7.10 978-4-7885-1245-0
46判448頁・定価 本体3500円+税
配本日は7月8日。書店さん店頭へは、来週11日以後となります。
米国サクラメント電力公社の先駆的なエネルギーシフトを調査した初版から15年、フクシマ事故までの日本の硬直した原発政策を徹底検証する100頁を付した、緊急出版です。
どん底から未来の選択へ
どん底からの再生。本書の第3章までは、地域住民に半ば見放され、解散寸前とも目されたアメリカ合州国・カリフォルニア州のサクラメント電力公社の再生の物語である。
本書をとおして再度訴えたいのは、カリフォルニア州サクラメントの人びとが二二年前の一九八九(平成元)年に住民投票というかたちで、トラブル続きだっ た原子力発電所の閉鎖を選択し、その後、エネルギーの効率利用と自然エネルギーの活用を柱に経営再建に成功したように、「脱原子力」は、社会がみずから選 択し、選びとるものだということである。
どういうエネルギーを選びとるのかは、単純にエネルギー資源の多寡に依存するのではなく、社会の側の選択の問題である。民主主義、議会、政治家のリー ダーシップ、裁判所、企業、メディア、研究者、社会運動、環境運動等々をはじめとする社会のあり方、市民社会の動向と深くかかわっている。エネルギー自給 率の低さが、自動的に原子力発電への依存率を規定するのではない。しかも本書で繰り返し述べたように、原子力発電の社会的コストは、社会的監視機構がどの ように機能しているのかに依存する。カリフォルニアやドイツが育ててきたような市民電力公社という可能性もある。自然エネルギーは社会が育てるものでもあ る。
三月一一日の大震災を生き延び、「原発震災」をまのあたりにした私たちは、どういう未来を選択すべきだろうか。本書であらためて提起したい。
(本書まえがきより)
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